Noise From The Basement/Skye Sweetnam

私がこのCDに副題をつけるとしたら、「ビバリーヒルズ青春白書 全15話」にします。
恋愛、友情、夢、学校・・・これでもかと言わんばかりに、アメリカのティーンの日常が詰まっている。
主人公は歌い手スカイ・スウィートナムであり、そしてリスナーの私たち。
一見ベタすぎる歌詞も読めば読むほどナチュラルでリアルで、オンナノコならば共感できること間違いなしだし
アグレッシヴな姿勢で突っ走るポップ・パンキーなサウンドも気持ち良過ぎ。
アイドルなのに、いい意味で安っぽいというか、インディーズっぽいプロダクションが新鮮。
流行のガールロックのカテゴリに括られてはいるが、どことなく80'sっぽい空気が漂っていて
(80'sミュージックの代表格、ブロンディ「Heart Of Glass」のカヴァーも収録!)
まさに日本人が想像する「毎日がカラフルでハッピーなハイスクール・ライフ」を体感することができる。
個人的に気に入ってるのは「Tangled Up In Me」「It Sucks」「Unpredictable」。
「Tangled Up In Me」はアルバムからの正式なファーストシングルで、
一見地味な曲だけどサビに力がこもっていて格好いいです。
”あたしの罠にかかりなさい”って歌詞も強気でいいね!
「Unpredictable」は他と比べると少し大人っぽい印象。
そして「It Sucks」。アルバムの中盤に位置するこの曲、多分それほど目立つ曲ではないのだけど
個人的にこの歌詞には物凄い共感して。
好きな男の子には彼女がいて、1度だけキスしたけどお互い知らん顔してる・・・という設定。
ひとりで悶々と悩んでる女の子の心情があまりにもリアル。
客観的にはどう考えても浮気者の男が悪いんですが、でもやっぱり彼のことが好きで、
キスが後ろめたいと同時に嬉しいのも真実で・・・って葛藤が克明に描写されてます。
対してサウンドは重心低めのハイスピードなパンクロックで、それがまたいい。
私の中では一番スカイっぽい曲です。
惜しいのは全体的にさらっとしていて、強烈なインパクトのある曲を欠いていること。
特に4〜6曲目あたり、曲の雰囲気が似通っていて勢いがやや失速する印象。
でも後半はせつないバラードが加わってぐっと厚みが増します。
また、ライヴと比較するとどうしても音がこもっているのは残念なところ。
しかしそれでも、16歳の女の子の溢れんばかりのパワーがびしびしと伝わってくるアルバム。
若いということはそれだけで価値がある、ということを改めて教えてくれる。

スカイについてもっと詳しく紹介した特集は こちら


Live 2003/Coldplay

セカンドアルバム「静寂の世界」を以前人に借りたことがあったんですが、その時はさほど興味をもてなくて。
MDに数曲録音したんですが、私は外でMDウォークマンを聴く時は、明るめの音楽を選ぶことが多く
なんとなしに疎遠になっていたColdplay。そしたらいつの間にかグラミー賞で最優秀レコードを獲ったりして
当時は正直「過大評価では?」と思ったりして、彼らの音楽をちゃんと聴かずに時間は経っていきました。
そんな中、突然購入してみたライヴアルバム。
これはDVD「Live 2003」にセットになっていたCDで、日本限定でCDだけが売られていたんです。
お値段も1800円とお手頃。
ネットラジオを垂れ流していた時、何回か聴いて気になったのがライヴ版「Clocks」と「In My Place」
それまで私がColdplayに抱いていた細い印象とは打って変わって、
とても伸び伸びとした演奏、そして観衆の大歓声が非常に気持ちよくて。
そんな訳で買ってみたらば大正解。
最近一番のお気に入りとなりました。

内容は、ファーストとセカンドのベスト的内容。
「君のポリシーを聞かせてくれよ」と歌うシリアスな「Politik」から始まり、
その後もColdplayらしい、静かで美しい楽曲が並ぶ。
バンドの演奏は、決してロック!!という感じの荒々しいタイプではないけれど
息遣いがそのまま伝わってくるように繊細で丁寧。線は細くとも芯は太い、といった印象を受けました。
そして、なんといってもハイライトは「Yellow」!
この曲はファーストアルバムからの大ヒット曲なんですが、私はこのライヴ盤を聴くまで知らなくて
でも聴いた途端に「なんていい曲なんだ!」と感動しました。
観客の盛り上がりも尋常じゃない。
サビのフレーズ”You know how much I love you”が甘酸っぱすぎます。
ライヴはこの勢いをつけて終盤へと突入。
間髪無く大ヒット曲「Clocks」「In My Place」と続き、一体感は最高潮に。
アンコールとして、アルバム本編でもやはりラストに収録されている「Amsterdam」を静かに演奏。
この曲は唯一私が前からお気に入りだった曲で、淡々と切ないナンバー。
歌詞に一切Amsterdamという言葉や描写が出てこないところも好き。
ショウの幕引きには最適でした。

とても不思議なことに、このライヴ盤、野外で録音されたもののように思えてしまう。
屋内のライヴの筈なんだけど。
なんだか、見上げたら夜空に星がキラキラ輝いているような、そんな錯覚をおぼえる。
まさに臨場感。CDを通しても、観客としての一体感は凄まじいものがあります。
きっとそれだけ彼らの演奏が素晴らしいということだと思う。
たった2枚のアルバムで、これほどのライブアルバム、大したものですよこのバンドは。


Mind,Body & Soul/Joss Stone

ティーンエイジャーにして、今や世界的なトップクラス・シンガーとなってしまったジョス・ストーン。
正直、当初はここまでのブレイクは予想していなかった。
2003年末に発売されたカヴァーアルバム「The Soul Sessions」は個人的な愛聴盤だったが
2004年前半の時点でジョス・ストーンを大きく取り上げたメディアは殆どなかったし
(その意味で、6月の号で既に彼女を表紙に持ってきた「Big Issue」は慧眼であった)
彼女の得意とするのはソウルというジャンル。決して派手に注目される分野ではないし、
その分地道に、着実に活動していくのかなという印象を抱いていた。
ところが。ヒットの可能性を見出したレコード会社による大々的なプロモーションと
制作陣、ゲスト陣の話題性、ファーストシングル「You Had Me」のキャッチーさ、
更には前述のカヴァーアルバムが売れ続けている中での新作だったことが功を奏し
アルバム「Mind,Body & Soul」は全英初登場1位、更には全米初登場11位という快挙を成し遂げる。
ただでさえイギリス人アーティストのヒットが難しいアメリカのチャートで、
まだまだ新人扱いのジョスがこれだけ売れたのはかなりのもの。

で、中身はというとカヴァーアルバムの路線を引き継いだ完熟のソウル集。
良くも悪くもシングル向きな「You Had Me」を除いて、後はほぼミッド曲かバラードで構成されている。
もちろん明るい雰囲気の「Don't Cha Wanna Ride」やレゲエ調な「Less Is More」など
それぞれにカラーはあるものの、コンパクトながらバランスのよかった前作に比べると
15曲計73分間も、渋めの曲が並んでいるのにはやや冗長な感が否めない。
しかしそれでも聴かせきってしまうのが、つまるところのジョスの凄さ。
そのボーカルについては改めて言及する必要もないが、ハスキーで肝の据わった歌声は
前にも増して力強く、生き生きと、感情的で、これで17歳というのはちょっと嘘だ。
特に本人も自信作だという「Jet Lag」では、恋愛の不思議さを楽しむ心情が描かれており
ゆったりと気持ち良い音の波の上をすいすいと泳ぐ、余裕ある歌声がいい。
そうかと思えば「Understand」では恋人に対する真摯な感情を哀切極まりなく吐露するし
ラストを飾る「Sleep Like A Child」の荘厳さは何者にも侵しがたい。

また、サポート陣の充実度もこの作品の大きなトピックで、
ベティ・ライト、ナイル・ロジャース、アンジー・ストーン、ラモン・ドジャー、リトル・ビーヴァー、
ティミー・トーマス、ラティモア、ザ・ルーツのクエストラヴ、シンディ・ブラックマンといった
ソウルファンがむせび泣いて喜ぶ、超一流の面々がブックレットに名を連ねている。
しかも大物からの寵愛はこれだけではない。
デビュー当時からイギリス音楽界の王様、エルトン・ジョンと親交があったり
ミック・ジャガー直々の招きによりサントラ用にデュエットしたり
果てにはグラミー賞でのパフォーマンスでメリッサ・エスリッジと共演・・・などなど。
この共演はiTunesで限定発売されヒット、またこれにともなってアルバムの売り上げも再浮上。
ついでにあのトム・クルーズが名指しでジョスを賞賛、今ではトムの手料理を食べるほどの仲だとか。
これだけのバックアップ&話題性があって、むしろ売れない方がおかしいとも言えるが
いつの時代も、才能は才能を嗅ぎ分けるもの。
彼らを動かすほどの才能を、彼女は最初から手にしていたのだから、もう仕方がない。
今夏、サラ・ジェシカ・パーカーに引き続いてGAPの広告塔に抜擢されたジョス。
これから本業以外にも忙しくなるだろうが、その歌声がある限りまだまだ寵児でいることだろう。





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