Bring Down The Moon/Naimee Coleman

今年の夏があまりに暑いので、このCDのレビュウ書きます。
唐突な書き出しですが、これ実話ね。買って、秋冬としばらく忘れていたのだけど、
死にそうに暑いのでこれを引っ張り出してきたら、あら不思議、涼めました。
スピーカーからマイナスイオンが大量に放出されるアルバム。
アイルランド出身のネイミー・コールマンは、歌声、楽曲共に、(あとルックスも)
そんなひやりと爽やかな世界を届けてくれる女性シンガーソングライター。
これは2001年に発表された2作目になります。
デビュー盤を聴いたことがないのではっきりとは言えないんだけど、
どうやら前作以上に明るくはなやいだ仕上がりになっている模様。
1曲目「My Star」がまずもう素晴らしく美しいケルティッシュなポップ・ソングで
リスナーをアルバムに引き込むには充分。
因みにNatalie Imbrugliaなどで知られるフィル・ソーナリーが制作しています。
ただまあこの曲は、アルバムではかなり力強い部類に入っていて、
全体的には、アコースティック音とプログラミング音が繊細に絡み合う楽曲を
ネイミーが清廉に、詩的に歌い綴っていく感じかな。
「Hold On」や「Delicate」「Your Arms」なんかはその最たる例。
また、ネイミーは歌詞においても非常に美しく、それでいて鋭い描写をする人で
このアルバムでは空に関するキーワードが多くちりばめられたリリックを堪能できます。
個人的にお気に入りなのはタイトル・トラックである「Bring Down The Moon」。
この曲は愛する人への歓びをストレートに歌ったロマンティックなもので
”The sky is calling Stars are falling(空が呼んでいる 星が流れている)
 The nights in bloom The angels sigh(夜の闇に包まれ 天使がため息をつく)
 As you and I bring down the moon(そしてあなたと私は月を手に入れる)”
なーんてとっても素敵ね。他にはタイトルからして可愛い「Sugar Me」や
逆に風刺的な「Misunderstood」も考えさせられる内容でよろしい。
ついでに、日本盤にはボーナス・トラックとして
デュランデュラン「Ordinary World」のカヴァーも収められており、こちらもなかなか。


It's About Time/Christina Milian

「なんじゃこりゃあー!!」
前触れなしにシングル”Dip It Low”のビデオを見せられた音楽ファンは皆、松田優作ばりにこう叫んだはずである。
黒髪と愛くるしい表情がトレードマークだったクリスティーナ・ミリアンが、
金髪に濃いメイク、露出の高い衣装、そしてやたらいやらしい(ポイント)ダンスで観客を挑発している。
一体ミリアンに何が起こったというのか。
実のところ、この2年間ミリアンは憂き目にあっていたと言っていい。
Ja Ruleにフィーチャーされたシングルで脚光を浴び、自身のデビューシングル”AM To PM”も
ビルボードセールスチャート1位を記録するが、肝心のアルバムは本国USではリリースされぬまま。
DefJamから契約も打ち切られ、日本やUKではポップスターとして認知されたものの
USではMTVの司会者をやったり女優をやったりと、こつこつと活動を続けることに。
そのミリアンが再度レコード契約を手にし、やっとのことでUSデビューに漕ぎ着けた、
それが今作「It's About Time」であり、”Dip It Low”は絶対外せない大切な先行シングルであった。
クリスティーナ・ミリアンをUS全土に高らかに宣言する為に。
この強烈なインパクトのビデオは功を奏し、結果チャートTOP10入りを果たす。快挙である。
まあ、趣旨も設定もよくわからん、妙にアジアンでいやらしさばかりが強調された、
果てには女体習字までおっぱじめるふざけたビデオの賛否はさておき(本人もやっつけで作ったらしい)
新鋭プロデューサー、Poli Paulと実力派アーティストTeedra Mosesがペンをとったこの曲は
案外に出来がいいし、アルバムにはこれ以上の曲が幾つも揃っている。
Joe Buddenをフィーチャーした「Whatever U Want」はサビでグイグイ迫ってくる展開にしびれるし
同じくBuddenを迎えた「L.O.V.E」はソフトな手触りのミッド・チューン。
ピーヒャラピーヒャラと異国情緒溢れる「Get Loose」は、有無を言わさないタイトな仕上がり。
(プロデュースはロドニー・ジャーキンス。今年後半における彼の復活はここで既に示唆されていたのだ!)
これに似た雰囲気で更にビート感の強い「Peanut Butter & Jelly」は奔放な歌声が実にファンキー。
かと思えばバラードも粒ぞろいで、シンプルな中にボーカルが映える「Someday Oneday」もいいし、
切なさ溢れる「Miss You Like Crazy」は終盤を盛り上げるのに最適な出来。
捨て曲なし。緩急つけつつ、アグレッシヴにこれでもかと攻めてくる姿からは
ミリアン本人、そしてスタッフの意気込みが力強く伝わってくる。
キュートでお茶目な性格は幸い変わっていないようだし、日本のことも相変わらず贔屓にしてくれてる模様。
エロいファッションも、歌詞も、ビデオも、この際許してあげようよ。
世界制覇の第1歩としては上々の出来。よく頑張りました。


One Love/Kimberley Locke

個人的に、人気歌手を続々と輩出しているオーディション番組「アメリカン・アイドル」を
あまり信用していないため、このキンバリー・ロックが現れた時も大した注目は払わなかった。
何故私がこの番組を嫌っているかというと、バラードが好きじゃないからである。
この番組の優勝者は必ず感動的で大仰なバラードを歌う。もちろんそれは歌唱力のいい見せ所なのだろうが
バラード嫌い(この場合のバラード=演歌っぽいパワーバラードと捉えて欲しい。全てが嫌いな訳ではもちろんない)
の人間にとっては、「またきたよ!お涙頂戴系が!」という斜に構えざるを得ないのだ。
しかしこのアルバムの冒頭を飾る曲であり、先行シングルとしてもヒットした
「8th World Wonder」、これが素晴らしいポップ・ソング。
やや80sっぽい、ただでさえテンションの上がるキャッチーなトラックを、
キンバリーの重厚かつなめらかな歌声がぐいぐい持ち上げて非常に気持ちがいい。
とはいえこの時点ではジャケット写真の悪さ(これについては後で言及する)やら
まだ躊躇する箇所が何点かあってアルバム購入までには至らなかったのだが
参加プロデューサーのリストを見て愕然。
アギレラを手掛けたGuy Rocheやバラードで有名なDavid Fosterはともかくとしても、
大大大好きなMatt Bronleweeが!これは逃せん!
という訳でアルバムを購入してみたら、前半はポップ、後半はスローなソウル曲中心でした。
なんといっても歌が上手いので、何を歌わせても安定感がある。
さすが黒人だからか重量感のある歌声なのだが、声質のせいかあくまで上品で綺麗。
それは特に前半で発揮されていて、同じく「アメリカンアイドル」出身のClay Aikenとデュエットした
「Without You」というバラード(Richard Marx作!)もしつこくなく良い出来。
セカンド・シングルになった3曲目「Wrong」がアメリカンアイドル第1期のKelly Clarksonのヒット曲
「Miss Independent」にそっくりなのはまあご愛嬌だが、こんなロック調を歌わせても上手い。
実はBronleweeのプロデュース作品がこれで、期待していたものとは違って少しがっかりしたのだが、
4曲目「I Could」が、「8th World Wonder」に劣らない、むしろそれ以上に良い曲だったので
もう全部許します。この1曲の為だけにアルバム買っていいと思った。
展開とかサウンドは「8th World Wonder」っぽいんだけど、更に切なく綺麗な雰囲気。
歌詞も素晴らしい。愛に対して誤った考えを抱く男性に対して静かに説く内容。
”Do you really want to give your life to (真実の愛をみつけたと、本当に一生思い込んでいたい?)
Thinking you found true love when it hasn't found you”(まだあなたは愛というものに出会ってもないのに)
この曲以外にも、何気にこのアルバムは良い歌詞が多いです。
元々キンバリーは法律学校で学んでいたインテリらしく、大人っぽい内容のものが揃ってますね。
ただし、後半曲調まで大人っぽくなりすぎたのは痛手。
もちろん上手いし曲もハズレはないのだが、いかんせん落ち着きすぎて前半との落差が激しい。
折角魅力的なポップスを歌えるのだから、守りに入らずそれを貫いて欲しかった。
あと、アートワーク。キンバリーの所属するのはCurbという名門レーベルなのだが、
ここは昔からアートワークがださい。例に漏れずこのアルバムもいまいち垢抜けないデザインになってます。
フォントとかレイアウトが非常に微妙。読みにくいし、これじゃ私がつくった方がいいんじゃないかと思えるほど。
そのへんが緩くなるのは3番手デビューの悲しいところかな。仕方ないけど。
それでも実力はある人なので、今後いい楽曲とスタッフに恵まれるかどうかが肝でしょう。
CurbにはあのLeAnn Rimesが所属しており、LeAnnがポップ路線から再びカントリーに戻りそうな今、
キンバリーはポップ路線の後継者になれるのではないかな。そこらへんも期待してます。





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