Fijacion Oral Vol.1/Shakira

おそらく結構多くの人が、シャキーラというアーティストを誤解している、
もしくは本当の魅力を理解しきれていないんじゃないかと思う。
というか私も、このアルバムをちゃんと聴くまではそのひとりだった。
ゴージャスなルックス、ヘソだしスタイルで派手に歌い踊る姿を見ただけでは
ブリトニー系のポップ・スターという認識でも仕方ないと思うけど。
8歳の時から作詞作曲をはじめ、13歳でレコード契約、5ヶ国語を操り、ユニセフ親善大使を務める・・・
IQ150とかいう噂もあるし、このインテリジェンス、クリエイティヴィティ、
しかもそれと外見の美しさを並行させてるってのは。
いくら世界広しといえど、こんな人はなかなかいないでしょう!
私もそのへんのプロフィールは大まかには知っていたのですが、
やっぱりどうしてもラテン!パッション!なイメージが強かったので
今作ではじめて、シャキーラのアルバムを聴いてみてびっくり。何せ初っ端聴こえてくるのはフランス語。
ドリーミーな曲調とボーカルで、見事にこちらの予想を裏切ってくれます。
かと思えばヒットした「La Tortura」のような、ノリノリのレゲトン・チューンもあるし。
特にこのアルバムはアコーディオンなど様々な楽器を意欲的に使っているようで
ラテン、と限定してしまうよりはワールド・ミュージックと言った方が近いと感じたかな。
ボーカルも非常に個性的。小悪魔な表情を見せたかと思えば、強い女になったり。
内省的なシンガー・ソングライターであると同時に、圧倒的な存在感のポップ・スターでもある。
それが曲ごと、いやむしろ毎秒ごとに、何人ものシャキーラが入れ代わり立ち代わり。
この掴みどころの無さ、ハイブリッドな音楽性、それでいて全体の完成度は高い。
まさに才能の塊、ひれふさずにはおれません。
全曲スペイン語ということを忘れて、ガーッと聴き通してしまいます。
中でもやっぱり「La Tortura」が出色の出来ですが!
浮気した男とされた女の掛け合いを、情感たっぷりに描くこの曲
ラテン音楽界の色男、アレハンドロ・サンスの未練たっぷりな呼びかけに対し
毅然と振り払うかのように、あくまでクールなシャキーラ。その対比が面白い。
なんだか妙にいやらしいビデオも必見。

ちなみに私はアルバム・タイトルのフィハシオン・オラル、という語感が無性に好きなんですが
これはスペイン語で”口への執着”を意味するそう。
人間、何かを吸収するのはすべて口から、というシャキーラの考えが込められているとか。
「オーラル(口を介して)という言葉は私にとっては文字通りの直訳以上の意味を持っている
 キスや食べ物……マイクでさえ私にとってはオーラルなことよ」とは本人の弁。
真っ赤な背景に乳飲み子を抱えるジャケットも非常に印象的ですが、
これはキリスト教の宗教画でよく出てくる、聖母子像を現代的に解釈したもの。
このアルバムの後編となる「Oral Fixation Vol.2」では、禁断の果実を持つイヴをモチーフにしており
そういった部分にもシャキーラの哲学、知性を感じます。


First Lady/Lisa Maffia

おそらく今更誰も注目しないアルバムだと思うのだが、あえてレビューを書いてみる。
UKの音楽集団、So Solid Crewのメンバー、リサ・マフィアのソロ作品です。
So Solid Crewは2000年初頭に巻き起こった、UKガラージ・ブームの中心的存在。
同期で有名なのはクレイグ・デイヴィッドなどがいますが、
SSCは音楽・キャラクターともに、よりハードコアでサグなのが特徴。
そんな男臭い集団のファースト・レディとして、野郎どもと肩を並べて歌っていたのがリサ。
このアルバムはSSCサウンドに捕らわれず、USのR&Bなんかも多く取り入れ
リサの可憐なボーカルを堪能できる、比較的ポップな構成となっています。
とはいえ、リサの立ち振る舞いはあくまでクール。
劣悪な環境のストリートで生まれ育ち、17歳で未婚の母となるなど(アルバム発売時、娘は7歳)
タフな経験を潜り抜けてきただけに、自然と滲み出るオーラ。
マフィアという名前(イタリア系の祖先に由来する本名!)は伊達じゃないのだ。

SSCの仲間から”24カラット・ダイヤモンド”と称されるように
リサの多面的な魅力にフォーカスしたこのアルバム。
中でも目を引くのは、なんといってもブリンブリンなシングル「All Over」。
HIP HOP×ガラージ、なゴリゴリのサウンドに、ドスの利いたMCが飛び交う中で
対照的なほど落ち着き払った、かつキュートなリサの歌声が小気味良い1曲。
リ〜〜〜サ、マフィア!という掛け合いが超癖になります。
サビのフレーズ”Remember I told you I'm a soldier”も大袈裟じゃなく、リサが言うと納得してしまう格好よさ。
ビデオで実際に動いているリサもめちゃくちゃ可愛い!
そんなアゲアゲな一面を見せたかと思えば、セカンド・シングル「In Love」は
スパニッシュ風味のギターが哀愁漂う、スムースなラブ・ソング。
メロディは綺麗なんだけど、ビートが重いのが面白い。
そして私が一番好きなのは9曲目の「Life」。
娘チェルシーを出産したものの、その父親とはDVが原因で別れ、女手ひとつでやってきたリサ。
しかしSSCとしてブレイクした途端、その男が再会したいと言ってきて・・・という
彼女の半自伝的な、シリアスなムードのミッド・チューン。シンプルで逆に美しいです。
サビの”Why? Oh Why?”の繰り返しに胸が痛む。
この3曲はそれぞれ、ポップ・スターとしてのリサ、女としてのリサ、母親としてのリサを象徴してると思います。
ただ収録曲数が15曲と多いのもあって、残りはまあ凡庸な出来、というのが正直な感想。
サード・シングルの「Woman Of The Wolrd」なんて、アギレラ「Can't Hold Us Down」の劣化版みたいだし。
アルバム全体にSSCの面子が総出演していて、殆どの曲にリサ以外の声が入っているけど
SSCのファンは嬉しくとも、初見の人間にとっては内輪向けな印象が強かったかな。
このアルバム以降、目立った動きは見せなかったリサでしたが
2007年にダンスホールをテーマにしたアルバムでカムバックするかも、との噂。
現在はSSCも活動休止状態だし、おそらくそんな良い環境で制作もできないだろうけど
リサはほんと、1児の母とは思えないくらい可愛い&カリスマ性があるので
ここは是非踏ん張って欲しいところです。


The Beautiful Letdown/Switchfoot

アメリカはサンディエゴ出身、4人組クリスチャン・ロック・バンド(現在は5人)の2003年作。
このメジャー・デビュー・アルバムで、彼等は一躍ブレイクを成し遂げます。
とはいえインディーズで3枚ものアルバムをリリースしているので、この時点で既に実力は充分。
リード・シングルとなった「Meant To Live」が、映画「スパイダーマン2」のサントラに収録され
日本でもちょっとした話題になりましたが、日本デビューが実現したのは次のアルバムから。
じゃあ輸入盤買うか〜と思ったら何故かずっと高いしで、なかなか入手できませんでしたが
なんとかゲットしてみたら、オルタナティヴ・ロックのお手本的、非常に良いアルバムでした。
メンバー全員がサーフィン愛好者で、バンド名もサーフィン用語から取られているというだけあり
海原的なスケールの広さ、懐の深さを感じさせる音楽性が特徴。

まず1曲目から件の「Meant To Live」がヘヴィに鳴り響く。
タイトルからもわかるようにどことなく哲学的な、シリアスなロック・ナンバー。
演奏もさすがに上手くて、アルバム冒頭を飾る求心力は充分。
そこから比較的ポップな3曲「This Is Your Life」「More Than Fire」「Ammunition」が続き
アルバムからのもうひとつのシングル・ヒット、5曲目「Dare You To Move」に繋ぐ流れが完璧過ぎる。
どちらかというと密室的な印象の「Meant To Live」に比べ
「Dare You To Move」は彼等の真骨頂とでも呼ぶべき、末広がりなロック・バラード。
ギター1本&ボーカルの静かな出だしから徐々に徐々に盛り上がり、サビで重く弾けてみせる構成がたまらんね。
更にどんどん音が重ねられていき、素晴らしいクライマックスがあって、また静かに収束してゆく。
実はこの曲インディーズ時代のアルバムにも収録され、更にはマンディ・ムーア主演映画
「ウォーク・トゥ・リメンバー」のサントラでも重要なポジションを占めていました。
評判が良かったので再収録、ということになってるのかしらん。
(ちなみにこのサントラでは、「Only Hope」という曲がスウィッチフットVer、マンディVer
 両方収録されており、面白い聞き比べができます)

といいつつ、このアルバムの個人的なハイライトは8曲目「Gone」。
シングル曲のイメージとは正反対の、ピクニック気分なアップ・チューンなのだけど
リズムに乗って口ずさまれる歌詞は、実は驚くほど啓発的な内容。
現実を直視して、毎日を精一杯生きなきゃ!と語りかける。
”だって、今日という日はすぐさま過ぎ去ってしまう・・・
  昨日がそうであったように
  歴史のように
  夏休みのように
  土曜日のように”
そしてこう締めくくられます。
”Life is a day that doesn't last for long”
クリスチャン・バンドらしい主張と、ポップ・ミュージックが見事に融合した一曲。





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