Twentythree/Tristan Prittyman

「趣味はサーフィン」という言葉から連想される”チャラい肉体派”なイメージと
サーフ・ロックのリスナー層=文系インテリ、というイメージ。
同じサーフなのに、何故こうもかけ離れてしまうのだろうかね?
地元に根付いたサーフィン文化というのが、地理上育ちにくい日本では
生まれたときから本当に毎日波の音を聞いて戯れて・・・というような
プレイヤーでありリスナーでもあるという、生粋の”サーフィン育ち”がごく少数になるのは
まあ仕方の無いことと言えるのかもしれない。
(そういう意味で、最も土地のカラーの音楽がさかんなのは他でもない沖縄だし)
だからこそ私たちは、ごく自然にサーフィンし、音楽する欧米人にほのかな憧れを抱く。
そしてそれが、外見も中身もキュートな女の子ときたら・・・!

こうして登場したのがトリスタン・プリティマン。
南カリフォルニアのビーチ・タウン、デルマー出身、典型的なカリフォルニアン・ガール。
12歳の頃父親のアコースティック・ギターを拝借し曲作りを開始。
友人たちの前でパフォーマンスするようになるが、その姿を
サーフ・ロックの第1人者であるジャック・ジョンソン運営の映像制作会社に見初められ、デビュー。
このプロフィールからして完璧でしょう。
この手のアーティストは、決してアグレッシヴではならない。
趣味の延長線上でやっていたことが、いつの間にか評価されちゃった・・・
「ライフスタイル優先、仕事は適度に」これこそロハスの王道じゃないかね?
ロハス熱が高まりつつある日本(まだファッションとしての意味合いが強いとしても)で
トリスタンが数多くの人に受け入れられたのは、そんな経歴の魅力もあるだろう。
もちろんそれだけではない、肝心の音楽もまさにサーフ・ロックの王道。
シンプルなバンドにざわめくアコースティック・ギター
ゆったりとした音楽の上を、トリスタンのハスキーな歌声がたゆたう。
単なるシンプルではなく、どこかザラザラっと、潮の匂い、土の匂いが鼻をかすめる
これが23年間天然培養されてきたサーフ・ガールだからこその持ち味だ。
ただし特に中盤は、女性シンガー・ソングライターらしい内省的な色も濃く
個人的に気に入ってるのもこういう部分で、それら含めての女性人気だと思う。

ちなみにこのアルバムには収録されてないんだけど、ライヴのアンコールで歌った
オアシスの「Live Forever」。これが素晴らしかったので特筆しておく。
原曲は骨太な雰囲気が格好いい曲なので、最初はトリスタンの印象と結びつかなかったけど
ギター1本で、あの曲を切々と歌われて・・・もう胸を締め付けられるほど!
ちょうど本人が恋愛真っ只中という状況もあったんだろうけど
あれほど胸を揺るがすカヴァーは久しぶりでした。音源化してほしいなあ。


Mr.A-Z/Jason Mraz

で、上のトリスタン・プリティマンの恋の相手というのがこの男。
男性ソロにしては日本でも一定のファン・ベースを誇るジェイソン・ムラーツです。
トリスタンのアルバムでは堂々と「Shy That Way」をデュエットしているし
このアルバムの日本盤ボーナス・トラック「Prettiest Freind」というのはトリスタンのことらしい。
残念ながら2006年の夏前くらいに別れてしまったそうですが・・・
しかしこのアルバムが作られたのは、ジェイソンにとってもおそらく恋愛絶好調期。
ファースト・アルバムでもその片鱗はありましたが、今作ではそれを遥かに上回った
ジャンルレスな面白さ・唯一無二のムラーツ・ワールドを展開しております。
個人的にはまずもう、タイトルの「Mr.A-Z」で完敗!と思いましたわ。
素晴らしく冴えた言葉遊びであり、なんでもありな彼の音楽性も言い表している。
ただジャンルレスと言っても、全体の手触りはあくまでポップ・ロック。
その枠の中で柔軟に好き勝手やってるのが、かえって感心させられる。
前作の流れを引き継ぐファースト・シングル「Wordplay」は楽しく軽快だし
レイチェル・ヤマガタをゲストに迎えた「Did You Get My Message?」は小気味良い大人の味わい。
「Clockwatching」はひんやりさらりとしたタッチがUK風。
そして「Mr.Curiosity」では、間奏でなんとオペラ風歌唱を披露する。
あとサウンド・歌詞ともに特に面白いのが、セカンド・シングルにもなった「Geek In The Pink」。
Geekというのはアメリカで言うところのオタクのことで、つまり”ピンクの服を着たオタク”
日本で男がピンクの服を着こなすのはオシャレとされるたりするけど
向こうの感覚だとそんなん「ゲイかキモいオタク野郎でしょ!」って感じらしく。
「そんな僕が君を満足させる男かもよ?」って内容の、ブラック・ユーモア溢れる歌なのだけど
といいつつ実は、プロデューサーがスコット・ストーチだったりするんだから!
今一番ヒップなサウンドで、こういう歌詞を歌っちゃうのがジェイソンという男なのだ。
こんな個性的な楽曲の中でも、私が最も気に入ってるのはトリを飾る「Song For A Friend」。
サウンド的には至って普通、このアルバムの中ではむしろ目立たない方だけど
一貫して哀愁漂う感じと、終わったかに見せかけて最後に再び盛り上がる構成が大好き。
1月のライヴでも本編最後はこれで、歌唱力・表現力をじっくり堪能できて素晴らしかったです。
ていうかライヴは最初から最後までほんと楽しかった。
ただでさえバラエティ豊かなアルバムなのに、その倍膨れ上がる表現の幅。
是非彼の場合は、ライヴも含めて堪能することをおすすめする。
アルバムとライヴで2度楽しめますよ!


PAULA DEANDA/Paula DeAnda

”会いたい会いたいって言ってばかりで、私ってウザイ・・・?”
この1フレーズだけで、片想い中の全米ティーン女子のハートを鷲掴むことは
最初から決まっていたも同然だろう。
実際この曲「Doing Too Much」は、シングル・チャートでロングラン・ヒットを記録した。
”私たち付き合ってるはずなのに、なんで連絡くれないの?
 電話のそばでずっと待ってる私、女友達は「ウザ過ぎると嫌われるよ」って言うけど・・・”
この歌の主人公女子は、見ようによっては確かにウザい。
しかし!例えばこれを20代後半の弾き語り系に淡々と歌われたら、怖くてつい謝りたくなるところでも
歌っているポーラ本人が実はまだ16歳、バリバリ現役女子高生というところに意味がある。
そしてサウンドも歌声もスウィートR&Bの王道ど真ん中。
最近デビューする女性R&Bは、先鋭的なトラックにか細いボーカルが乗る・・・というパターンが多かったが
ポーラはむしろ90年代の匂いを残したような、美メロ&しっとりした歌唱がメイン。
ついでにヘアメイク、ファッションもそれほどギャルギャルしくなくて
いかにもテキサス出身の健康的な女の子といった感じ。
ちょっといなたくて、でもそれがとびきり胸キュンな、甘酸っぱい安心感
こりゃ誰もが昔の幼い恋を思い出して、ときめかずにはいられませんよ。

そんなポーラちゃんのデビュー・アルバム「Paula DeAnda」は、
実は何気にとんでもなく豪華な人選がなされているのも特徴。
プロデューサーにはティンバランド、スターゲイト、フランキーJらが顔を揃え
ソングライティングを手掛けるのはNe-Yoにダイアン・ウォーレンなど。
ゲストにはベイビー・バッシュやリル・ウェイン、アクセントらが参加。
そして後見人はJレコード社長のクライヴ・デイヴィスだ!
というわけで全体的に控えめながら、レベルの高い好作品にまとまっております。
ポーラの歌声はしっとりとなめらかでバラード向き。
アクセントと女子同士ではしゃぐ「Make 'Em Clap To This」はバリバリのアップ・チューンだけど
あとは基本的にミッドかバラードかな。スムースな歌声です。パンチが少ないといえばそうだけど。
歌の上手いR&Bシンガーはたくさんいますが、強い女を標榜しがちなこのシーンで
ティーンらしい気持ちを大事にしているのが他にはなくていい感じ。
惜しむらくはジャケットのセンスの悪さかなー
輸入盤は大人っぽすぎるし、日本盤はギャルっぽくてチープ。
MV見るとファッションもアメリカのティーンぽくて可愛いんですよ、ほんと。





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