A Girl Like Me/Rihanna

ファーストアルバムから約半年という、驚きの短いスパンで届けられたリアーナちゃんのセカンド・アルバム。
おそらくレーベルの予想以上にブレイクしてしまったデビュー劇(だって「Pon De Replay」のビデオ金かかってなさ過ぎだもん)、
というか“クイーン・オブ・ダンスホール”としてデビューさせたのに、
むしろポップ・シーンで受け入れられたことから、早急に軌道修正したのだろう。
だからこのアルバムこそが、今後のリアーナのキャリアにおいては実質的なファースト・アルバムにあたるんじゃないだろうか。
そのキャリアというのはもちろん、ポスト・ビヨンセとして次なるR&B界のスターを狙うって道筋である。
というわけでこのアルバムは、レゲエ色の強かった前作から一転、ポップR&Bとでも呼べるような内容。
NIKEとの大型タイアップもついた先行キラー・チューン「SOS」(これは病みつきになるわ)をはじめ、
レーベル・メイトでもあるシンガー・ソングライターのNe-Yoによる繊細なバラード「Unfaithful」、
それにショーン・ポールとデュエットした「Break It Off」など、話題性のありそうなトピックがぶちこまれている。
がしかし、肝心の“R&B要素”が全体的にあんまり感じられないのよ。
印象に残るものといえばメロウでセクシャルなミッド「We Ride」とタイトル・トラックでもある「A Girl Like Me」(翳った歌声が最高)
くらいで、でもこの2曲も今ひとつ黒さに欠ける。
R&B曲で最も光っていたのが、ボーナストラックの「Who Ya Gonna Run To」というのはいかがなものか。
残りの曲は正直、寄せ集め的印象であんまり区別がつきません。

反面、ジャケット写真やビデオといったビジュアルに関してはクオリティ高し。
今のところ「SOS」と「Unfaithful」のビデオが公開されているが
ファースト・アルバムのティーンっぽさからは格段にジャンプアップ。
観客の目を存分に意識した、ベッタリ濃厚な立ち振る舞いとかまさにビヨンセ風。
ファッションの方もぐっと露出度高めになっております(童顔なので、無理矢理寄せ上げたくさい胸元とか見ると犯罪っぽい気持ちになるのだが)
特にスタイリングは有能な人材がついているらしく、B-Girlというよりは、ファッション・セレブを目指していることは明白。
つまり、リアーナ自身のスターを目指す覚悟と準備は万端だというのに
一番大切な音楽がぶれていることが、勿体無いということ。
とはいえスキルが上達していることは事実だし、悪いアルバムでは決してないので
ポスト・ビヨンセを目指すと決めたからには、徹底的に頑張ってもらいたい。


Stars Of CCTV/Hard-Fi

CDショップやラジオで、流れてきた曲に「うおっ!?」と反応するあの楽しさ
私の場合そういう出会いをするのは、圧倒的にロックが多い。
なんでかっていうと、多分一番好きな女性ボーカルものはネットで大概チェックしているので
逆にあまり詳しくないロックの方が、突然耳にした衝撃が大きいんですよね。
因みにこのパターンで買ったのはEvanescence、Third Eye Blind、Vertical Horizonなど。
2005年にそのリストに連なったのが、このHard-Fi「Stars Of CCTV」です。

とはいえ雑誌なんかで話題になっていたので、名前だけは知っていたんですが。
でもUKのバンドが飽和状態の昨今、また同じようなバンドかなと思っていました。
しかし忘れもしないあれは池袋のタワレコ、突如耳につっこんできた血のたぎるような音楽
その場で踊りたくなるのを必死に抑え、興奮気味に近くにいた店員に尋ねたもんです。
そして教えられたのがHard-Fiの名前。ああ、こいつらか!と。
因みにその曲とは、シングルカットすらされてない「Gotta Reason」。
それにこれほど反応したくらいだから、相当訴えかける力があったんだろうね。
”英国労働者階級を代表する反抗の叫び声”とコピーをつけられているだけあって
普段の私の趣味からすると、ボーカルやバンドの音自体がちょっと野太いかなーとも思いますが
この傲慢かつ大胆不敵で、とびきりワイルドでセクシーな音楽性を考えるとそれも納得。
アルバムにはバラードも収録されてますが、それは私には濃すぎて
やっぱり汗が飛び散るようにダンサンブルな曲が特に好き。
特に前述の「Gotta Reason」と、シングル・ヒットした「Hard To Beat」!
後者はダンスフロアでの恋愛模様を描いた、なんともセンスのいいポップな一曲。
このバンドの中ではかなり軽い肌触りで、ダンスファンにもバリバリおすすめ。
あとは「Living For The Weekend」「Stars Of CCTV」もお気に入りです。
生命力がビンビンに溢れてて、なおかつUKらしい曇った雰囲気もある。
放たれるエネルギーに撃ち抜かれるのが快感。こういう出会いがあるからやめられないのよ、ほんと。


Folklore/Nelly Furtado

ネリー・ファータドの、特に日本での、ファン層って一体どういう人たちなんだろうか。
だってガール・ポップにしては奔放過ぎるし、ディーヴァほどゴージャスでもない。
かといってヒップホップもしくはストリートの音と言い切るのも違うわけで。
AMAZONなんかを見てても、ネリー・ファータドをピックアップしているリストマニアというのは
他に取り上げている音楽にかなり幅があるものが多く(浜崎あゆみと同列にしていた人もいるくらいだ)
そうだよ、このジャンル分けのし難さがネリー・ファータドだよ!と思うのだ。

しかしその難しさが、イコール彼女の音楽性を小難しくしているのかというと
そんなことは全くないのが、また面白いところ。
身体の芯に直接訴えかけてくるようなビートと、自由自在に花開く歌声。
口で説明するのが野暮なくらい、なんというか本能的な音楽なのだよ。
体内に眠るDNAが勝手に反応する、的な。
しかし元々MCとして音楽のキャリアをスタートさせたネリーのこと、
単なるワールドミュージックに終わらず、現行のポップスとして遜色ないものに仕上げているのはさすが。
ただし”ポップスなのにどこか土臭い”というのは、前作から共通して見られる、彼女の元々の持ち味。
それでは前作とどこが違うのか、どこが特に「Folklore」なのか、というと
なんかねえ、角がぐりっと削られたような、手触りの素朴さがあるんですよ。
彼女自身が出産を経験したことにも影響されていると思うんだけど
前作ではもっとシャープだったシルエットが、削られることで丸みと深さを得た、というか。
その丸みと深さこそがFolklore、民族的なもの、土着的なもの、なのではなかろうか。
そして民族的なものというのは、時に何故か眩暈がするような、無性なせつなさを呼び起こすもの。
なので個人的には明るくて楽しい「Powerless」や「Forca」よりも
9曲目からラストにかけての、哀愁漂う雰囲気に惹かれる。
そしてなんといっても4曲目「Try」!これは自分の中で神ソング。
自省的な歌詞(All I can do is try...)と、淡々としながらも静かに盛り上がる構成が最高。
ヨーロッパの田舎を舞台にした、古い映画のようなビデオもぴったりすぎ。

3枚目のアルバムはまたヒップホップ色が強まるとのこと、
このアルバムを気に入った人は逆に受け付けないかもしれないが、それでいいのだ。
枠に捕らえようとする手をするりと抜けて、鳥のように自由に羽ばたく。
その痛快な奔放さこそがネリー・ファータド!





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