Jagged Little Pill/Alanis Morissette

ぶっちゃけた話、2004年に最もよく聴いたのはこの「Jagged Little Pill」だった。
95年発売だからもう9年も前のアルバムなんだけど。
全世界で大ヒット、新人女性アーティストのデビュー作としては
史上最多の2800万枚を売り上げてギネスブックにも載っている歴史的アルバム。
だけど自分でこうして手にとって聴いてみて、やっとその意味がわかった。
名盤っていうのは。傑作っていうのは。
ベタな話だけど、素晴らしいものはいつまでも色褪せず輝き続けるということを。

私にとってこれが初アラニスではなく、まず去年、02年作品の「Under Rug Swept」に魅了され
今年、最新作「So-Called Chaoss」を購入しアラニスの良さを確信して
やっとこの伝説のファーストアルバムに辿り着いたのだけど。
伝説だからこそ、逆に手を出しづらかったというのはある。
このアルバムが語られる際には、兎に角「You Oughta Know」での剥き出しの激情が的になったし
不思議少女だとか片翼の天使だとか、更には昨今のガール・ロックの源流として崇められ
アラニスのブームを体験していない自分にとってはなんとなく近寄りづらく、
名盤というラベルを貼られて時代にしまいこまれているように感じていたのだ。
そして思い切って買ったこのアルバムをスピンさせてすぐ思ったのは
「騙された!!」ということ。
おどろおどろしいとか重たいとか暗いとかそんな観念を私に植え付けてきた奴らは出て来い。
こんなに気持ちのいいアルバムだなんて知らなかったよ。

上で素晴らしいものは色褪せないと書いたが、このアルバムはまさに原色の宝庫だ。
全ての音が鮮やかでパワーを持っている。
まるで音符ひとつひとつが生きているかのように鮮やかで若々しい。
言い換えれば、歌い手アラニスの繊細な心情の動きそのままに、
メロディ、音、いやもう音楽自体がすいすいと上下左右しているような・・・
アラニスが歩いた後には自然と音楽が生まれている、そんな過剰な想像さえしてしまう。
奔放で、自由。
何者にも侵しがたいピュアな世界観と才能。
まだまだ荒削りなようにも思えるし、はじめから完成されているようにも思える。
とにもかくにも”アラニス・モリセット”という単語以外ではこの音楽は説明できない。

また、なにかと歌詞の過激さが話題になりがちではあるが、
イメージされがちな”怨念を引きずる激情の女”は彼女の一面でしかなく、
アルバム全体に目を通すと、彼女が実にユーモラスで人生に対してポジティヴであることがわかる。
大ヒットしたシングル「Ironic」では、タイトルこそ皮肉という意味だが
人生に多々起きる困難な局面だって、結構切り抜けられるものよ、というメッセージ・ソングだし
(大体「Ironic」という題名自体、とびきり不敵で気が利いているじゃん!)
このアルバムを端的に表した曲「You Learn」では、
傷ついたり、失ったり、愛したり笑ったり、そうやって生きていくことで学んでいこうと歌いかける。
しかも、これがちっとも説教くさくないポップな曲なので、つい一緒に合唱してしまうのだ。
個人的に、歌詞、楽曲ともにハイライトなのが「Head Over Feet」。
これは愛する人、単に恋人に限定しない、彼女を支えてくれる周囲の人全てに捧げられており
”いまだかつてこれほど健やかな気持ちになったことはなかった”と
女神のように、晴れやかにやさしく歌うアラニスが絶品の名曲。

アラニスは体質的に合う・合わないがあるアーティストらしいので無理にお奨めすることはしないが、
彼女を取り巻く名声・環境が落ち着いた今だからこそ、改めて聴いてもらいたい。
危険なギザギザの薬。このアルバムに対してそんな恐ろしい印象を抱いてたけど
思い切って飲み込んだら・・・今やこれなしでは生きられない。
アラニスがこうして歌ってくれるなら、私は今日ももう少し頑張ってみるよ。


1.All I Really Want
身体の全感覚を目覚めさせるかのような沸き立つイントロで始まる。
このイントロを聴くと凄くよく目が醒める。
しかも出だしから「あなたを緊張させてる?」という強烈なインパクト。
アルバムの幕開けとしてはこれ以上ない出来。

2.You Oughta Know
今後も永遠に語られるであろうアラニスの代名詞にしてデビュー・シングル。
「死ぬまで私を離さないと言ったのに、別れた今もあなたは生きている」
という恋愛における普遍的なツッコミ(?)を、21の女の子が髪を振り乱しながら
ギターを弾いて叫んだことに意義があるのだろう。
「今の彼女は映画館であなたのナニを吸ったりする?」なんていう歌詞が話題になりがちだが
よく考えたら、Coccoを通過している自分にとっては大して驚く歌詞でもない(笑)

3.Perfect
一転しておだやかな雰囲気で始まる曲。
アラニスの抑えた歌声は、さっきまでとは別人のよう。
親から誤った愛情を注がれている子供のことをうたった歌で、さりげなくこれはぐっとくる。
”私たちはありのままのあなたを愛するわ あなたが完璧である限りね”
というフレーズが。どの親子にも突き刺さるフレーズであろう。

4.Hand In My Pocket
曲調的には1「All I Really Want」に似た雰囲気か。
アラニス自身のハーモニカがよく響き渡る気持ちの良い曲。
歌詞もポジティヴな人生賛歌で元気が出ます。

5.Right Through You
引き続いて明るく力強いタイプの曲。
傲慢な人間に対してピシャリと撥ね付ける小気味良い内容!
タイトルの意味はお見通し、ということ。

6.Forgiven
壮大な雰囲気を持つ曲。静かな出だしからヴァース、コーラスでぐぐっと盛り上がる。
カトリックの学校に通った経験をもとに書かれた歌詞なので、
同じ体験をしている自分には共感できるところがあります。

7.You Learn
このアルバムの核となる曲で、アルバムタイトルも歌詞の一節からとられました。
失敗したり努力したりすることで人生は豊かになる、という趣旨。
アディダス(確か)の衣装を色違いで着替えまくるビデオも印象的。

8.Head Over Feet
大好きな曲。
アラニスが心から愛を込めて歌っているのが感じられて幸せになります。
愛する人への感謝と賞賛を歌っています。
ライブでアコースティックで聴くと、また格別。

9.Mary Jane
ちょっとフォーキーな雰囲気の曲。
傷ついた親友に対してやさしく話しかけるように歌う。
しかしMary Janeってのは向こうではポピュラーな名前なのかね?
スパイダーマンではMJだなんて可愛くない呼び方されてるけど(笑)

10.Ironic
全世界で大ヒットし、96年のグラミーのレコードオブザイヤーにもノミネート!
アラニスが1人4役を演じるビデオも面白い。
身近にある”皮肉な”事象を次々と取り上げ、人生の面白さを歌う。
例えば高級ワインのグラスに落ちてしまったハエ、自分の結婚式の日の雨、
一服したい時の禁煙マーク、憧れの人に会ったら美人の奥さんにも出会ってしまった、など。
こうやって皮肉ることで困難を笑い飛ばすアラニスの考え方は凄く好きです。
ライブでは観客が大声で合唱する人気曲。

11.Not The Doctor
私は医者じゃないんだから求めすぎないでよ、という歌詞。
一見普通の恋愛ソングのようですが、全ての人間関係に共通することを歌ってます。
ひとりひとりが独立して、意識を高く生きることの重要性を説く。
アラニスのボーカル独特のリズムの取り方も聴きもの。

12.Wake Up
ラストを締めくくる曲ということで、少しシリアスな雰囲気。
受動的な生き方をする全ての人々へ、「目覚めなさい」と訴えかける。
”だって何もしない方がずっと楽だものね
 世の中で起こってること全部、あなたのところへはやってこない
 そこには愛もお金もスリルも何一つないわ”
というサビには非常にドキッとさせられます。
「Wake up」という一言で終わるのも格好いい。





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