バーバー

ぎゃあ〜
もう! 主演のビリー・ボブ・ソーントンが! 
渋すぎる!!
今の映画界で、これほどモノクロとタバコが似合う男はいるんだろうか・・・。
コーエン兄弟と初タッグ?になるのかな?
かなり良かったのでこれからもこの組み合わせが見たいです。
しかしストーリーは・・・もちろん良いんですけど、個人差があるかなあ。
好きな人はめっちゃ好きだと思うけど。
私は、嫌という訳じゃなくて、むしろこういう淡々とした閉塞的な世界は好きなんですけど、
ラストにあまりに人生の不条理みたいなのを感じて、やるせないようなでもこれでいいような、
不可思議な感慨を感じてしまいました。
大まかに説明すると、床屋が人を殺す話・・・じゃなくて(笑)
床屋で働く、人生を淡々と生きてきた無口な男が、あることをきっかけに犯罪が犯罪を呼び、
人生の渦に翻弄されていくといった感じでしょうか?
それにしてもビリー・ボブ最高です。元妻アンジェリーナ・ジョリーが「この作品が過去で一番だわ!」と言ったように
彼の演技力と味が非常に満喫できる作品だと思います。
その他のキャストも! 私の大好きなフランシス・マクドーマンドが妻役で、
注目の若手・スカーレット・ヨハンソンが主要キャストの1人の知人の娘役として出演するなどかなり満足。
音楽も最高! ベートーベンなんですが、画面と合ってて、美しくも哀しく、絶妙でした。
コーエン兄弟のセンスはやっぱり大好きです。
どうでもいいですがこの映画、映画館でたった一人で見たんですよね〜
さみしさとやりきれなさと、1人の男の生き様を見たという、
不思議な充実感を胸に私は劇場を去っていきました。


はつ恋

田中麗奈主演。篠田哲雄監督作品。
平凡な毎日を送る主人公(田中麗奈)だったが、春休みに入って母親が急に入院。
知らなかった母の現実に動揺する主人公。
病床の母のため、母が若かった頃出しそこねた恋文の相手を探し出し
対面させることを思いつくが、みつけたその男は、借金取りに追われる駄目男で・・・
すごく綺麗で優しい映画だった。
日本映画らしい日本映画。とても、好きだと思いました。
ストーリーは、結構単純だったり無理矢理だったりするところもあるんだけど、
登場人物みんなの優しさが溢れていて。
田中麗奈、ちょっと生意気な女子高生の役がはまってます。
彼女の演じた主人公の、後先考えない若さとか、自分勝手な態度とか、
こましゃくれた我儘とか、意地っ張りだけど本当は親想いのところとか、今時の女子高生っぽいなあと。
田中麗奈を支えるキャストたちも素晴らしすぎ。
母の昔の恋人には、真田広之。
だんだんかっこよくなっていく様は、ファンには必唾モノです。
バツイチ男の気まぐれさだとか不器用さだとか・・・
特にお花見の前の、雨の夜のシーンとか。
パパ役の平田満もいい味出しています。
でも一番良かったのはママ役の原田美枝子!
「愛を乞うひと」で主演女優賞を獲っただけある! 本当に上手い女優さん。
ただ上手いだけじゃなくて、雰囲気が良いんですよね。穏やかで。
少女は、優しい大人たちに支えられて、オンナになっていくのだなと。
最後の桜のシーンは優しくて優しくて田中麗奈と一緒に私も(心の中で)涙を流してました!
とても良い映画でした。


バッファロー66’

確か渋谷パルコの映画館シネクイントの、第1回上映作品だったのがこれ。
そのエピソードに充分納得できるほど、超スタイリッシュでクールな格好良い映画ですが
ただ「オシャレ」それだけじゃないね! もうとってもハートフルで人間的で
観終わった後にスキップしたくなるくらい素敵な映画よ。

なんといっても核はヴィンセント・ギャロその人。
監督脚本主演音楽をひとりでこなし、そのセンスが大いに発揮されています。
彼が演じるのは、刑務所を出所したばかりのビリー。
いい年なのに未だに大人になりきれない、コミュニケーションのとれない駄目男。
彼が郷里の両親に「今は政府で働いていて結婚もした」という嘘の電話をかけたことから
このストーリーは回転する。
ビリーがとった行動は、なんと行きずりの女レイラを誘拐すること!!
彼女に妻のふりをするよう強要し、ふたりのおかしな旅は始まる。

ビリーのあまりの駄目っぷりは見ていて滑稽なくらいなのだけど、
はちゃめちゃな(両親の前では良い子)振る舞いに振り回されながらも、
レイラは彼の心の隙間に気付き、包み込んであげようとする。
あまりしゃべらなくても、どっしりとした存在感のあるレイラが素晴らしい。
特に女子の観客は、レイラに自分を重ね合わせてしまうのではないかしら。
クリスティーナ・リッチは確かにこの時かなりぽっちゃりだけど、
このむちむち加減なくしてレイラのキャラクターは表現できなかったであろう。
とかくビリーとレイラ、ふたりの絶妙なコンビネーションがやさしくて哀しい。

しかし馬鹿なビリーはレイラの気遣いも頑としてはねのけ、
自分が捕まるきっかけになった男の元へ復讐しに行こうとする。
それには死の危険がともなうとわかっていても、だ。
この後どうなるかは見てのお楽しみだけど
個人的には相当感情移入してしまいました。そして、
ラストに凄い笑ってしまった。嬉しくて嬉しくて笑った。それはもう。


ハリー・ポッターと賢者の石

来ましたね来ましたねハリポタ!!
これは流石に見にいっとかないとね〜 という。
親がお金出してくれたし♪
映画館はもう満員でした・・・・ そんな最初の方に行ったわけじゃないのに
流石、流石はハリポタだね。
率直な感想としては・・・面白かったです、合格点です。
ちゃんと上手くストーリー追えてるし。
クィディッチのシーンとか、最後のチェスのシーンとかも迫力満点! だし。
私はホグワーツ校のたたずまいとか内装が特に好きでした。
大広間の旗の色がばばばーって変わるとことか、すごく良い。
ただ、やっぱり私は原作読んでたのでちょっと斜めに見てしまうというか
比較してしまうと惜しい点も幾つかあるかなあと。
特にキャラですかね。
それぞれ、皆様上手くキャラに入り込んでるなあとは思ったんですが。
主人公のダニエル君かっこいいよね(笑)
私はエマ・ワトソン嬢演じるハーマイオニーが大好き!です。めちゃ可愛い!!
マクゴナガル先生、ハグリット・・・etcも良かったです。
なんだけど。
私の愛するスネイプ先生が!
いい人すぎるー!!
アラン・リックマンは良いんですよ。あの陰湿な感じとか外見イメージは合ってる。
んだけど、造詣が浅いというか・・・時間が無いから仕方ないとは思うんですけど
もっとハリーを苛めて、苛めて、不条理なぐらいにさあ・・・
登場シーンも少ないから、スネイプ先生を憎めないんですよね。憎む要素が足りなくて。
今作は別にこれでもいいんだけど、2作、3作と続いていく訳でしょ?
3作目は、ネタばれになるので言いませんけどスネイプ先生の新たなエピソードがでてくるし。
だから、こんなことでいいのか〜!? っていう感じです。
でもそれ以外は、良かったですよ。
原作読んでない妹も「楽しい!」って言ってたし。
次作に期待。


ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

監督が交替し、物語自体もシリーズの転換部となるだけあって
前作までの「夢見るエンターテイメント!」的雰囲気から一転、ゴシック色を強めています。
最初の、学校へ向かう列車のシーンで掴みOK。
魂を吸い取る恐ろしい怪物・ディメンターの存在が強く印象付けられました。
やっと到着した学校も、暗く雨が降っていて、なんか違う!と思わされるしね。
この監督の起用には賛否両論あるようですが、ストーリーを大分はしょってるな、という気はした。
結局うまく完結しているからいいっちゃいいんだけど、
原作ファンはやっぱり物足りない部分もあるかもね。
観ていて「ここやらないんだ!」ってところは結構あったし。
しかし今回はキャストが素晴らしい。
ハリポタシリーズが、1級のハリウッド大作でありながらも
格調高さを保ち続けているのは、一貫してイギリス人俳優(それもベテランの)を使っているから。
今回の目玉はなんといってもゲイリー・オールドマン扮するシリウス・ブラックでしょう。
こないだ「レオン」見てて思ったけど、ゲイリー・オールドマンって犬顔だよなあ
だからシリウス役(犬に変身することができる)なのかと少し思った(笑)
個人的にキターー!!だったのはルーピン先生役のデヴィッド・シューリス。
「シャンドライの恋」で彼の魅力にしびれたところだったので嬉々として見ました。
茶系のファッションで穏やかな雰囲気が上手く出てました。
それに加えてスネイプ先生役のアラン・リックマン!相変わらず渋すぎ!
この3人が並んだ日にはぐうの根も出ません。
実際、クライマックスの叫びの屋敷のシーンは、大人っぽい雰囲気で楽しめました。
あとハリーが夜中に校内をうろついていて、叱ろうとしたスネイプ先生と
仲裁に入るルーピン先生のシーンも大好き(ハリーはどうでもよし!)
ハリポタは本当にキャストがいいので、毎回新作を楽しみにすることができるね。
チョウ・チャンの役をBOAがやるとかいう話をいつか聞いた気もするが
ただの噂よね?どっちにしろ次も楽しみ。


ピアニスト

大大問題作です。これは。
主演のイザベル・ユペール、ブノワ・マジメルがともにカンヌの主演女優・男優賞を受賞。
2人の演技が素晴らしくて(特にユペール)、喝采というよりむしろ恐ろしくなってしまう。
そのくらいシリアスで淫猥で重厚な作品でした。
ストイックなピアノ教師エリカが、若くて才能あふれる青年ワルターに求愛されることから、
少しずつ彼女の中の調律が崩れてゆく。
エリカは厳格な母親に育てられ、今でも母親とベッドをともにしており、
抑圧された自由感情は、歪んだ性欲として胸のうちに溜まっている。
こんな異常な状況が、ワルターの出現によって揺さぶられ、さらけ出され、
そして崩壊されていくさまは本当に悪寒が走る。
イザベル・ユペールはマジで凄いです。エリカの気持ちの変化を微妙に演じ分けていて。
最初は取り付く島のなかったエリカが、だんだんと彼に惹かれていき、
少女のように嫉妬してしまうくだりなどひどく魅力的だし、
そこに颯爽と駆けつけるワルター君が!やばかっこよすぎ!!
思わずトイレに隠れてしまったエリカを、ワルターが引きずり出してキスするシーンは
今作のハイライト。女子は見るべし男子は参照すべし(?)
しかし上手くはいかない。ここからエリカの隠された変態的嗜好が、2人の関係に亀裂をもたらすことに。
これは観ている方がハラハラするというか・・・ある意味どうしようもないので。
可哀相だし滑稽でもあるし、ワルターの立場になってみればこれ程意味不明なこともなく。
解放されるかにみえたエリカはどうなるのか?逆上したワルターはどうするのか?
そして衝撃のラスト。・・・ああ。
人間性というものについて考えさせられます。エリカがこんな風になった理由を考えると、
やはり母の教育にある訳で、でも母は母で愛があり、
”普通であること”というのは一体なんなのか。
とにかく強烈すぎてしばらくは放心状態だけど。
ピアノを題材にした映画でありながら、エンドロールは無音なのも良かった。
悟ってしまったエリカの心境のようで。ものが言えないです。


ピストルオペラ

すごい!すごい!!
さすがは”映像テロリスト”鈴木清順監督。
皆様死ぬ前にいっぺん彼の映画の洗礼を受けといた方が絶対いいですよ!!!
(「死ぬ前」って客と監督どっちだろう・・・ だって清順翁もう80歳よ?)
このクソ妖しい雰囲気つーのはどうしたもんですかね。
とにかく本当に映像美が凄いの。極彩色。まさに”フィルム歌舞伎”。
予告編がもう最高級の仕上がり。あれ見て本編も見なきゃと思ったもん。
とにかくセンスが凄すぎです。あーもー凄いとしか言えない・・・
ストーリーの説明を。
拳銃を「あたしのオトコ」と愛し、孤独に生きる女殺し屋、野良猫(江角マキコ)
殺し屋組織・ギルドのナンバー3に君臨する彼女だが、何者かにナンバー2が殺されたという情報が入る。
ナンバー2を殺せるのはナンバー1の百眼(永瀬正敏)しかいない筈、
ギルドの代理人・小夜子(山口小夜子)から百眼の凶行を止めろという指令がくだる。
かくして、野良猫の戦いは火蓋を落とした!!
ねーもーこれ聴いただけで血が騒ぐでしょ?
加えて徹底した映像美と、劇中に流れる不可解さと怪しさ。
はっきり言ってストーリーは訳わからんとこ多すぎ! で途中混乱すること請け合いなんだけど
それらが全体の、なんともいえない雰囲気を作ってると思えば文句も出ない。
キャストも素敵。
賛否両論あったようだけど、江角マキコの和服+ブーツ姿はめちゃキレるよ!(いい意味で!)
永瀬扮する黒いマントの殺し屋もかっこよすぎい!!
訳わからんとか書きましたけど、クライマックスのどんでん返し&ラストは貴方を驚愕させること間違いなしだし、
途中殺し屋が「シェー」のポーズで死んでいたり、なーんてギャグも満載!!(笑)
しかも主題歌がEGO-WRAPPIN’だなんて・・・ こりゃーもう見るしかないでしょ!


ビューティフルマインド

私はあんまりアカデミー授賞系には興味なくて、特に作品賞とっちゃった映画なんかは滅多に見ないんですけど
これは親が本当に薦めててつれてってくれたので見に行きました。
それがですねー 本物でした!とてもクオリティの高い、
単純に「観た人に何かを与える」という最も基本的かつ重要なボーダーをクリアしてた。すごく上質の映画。
まずキャストが良い。
悔しいけど、ラッセル・クロウは本物の役者。授賞式の髪型にはぞっとしたけど!(笑)
何が上手いって、上手すぎるんですよ。あー演技上手いってこういうことかっていう。
特にじいさんになった主人公、これも特殊メイクでラッセルが演じてるんですけど
本当に上手かった。ストーリー云々より演技に感動する。
で、妻役、この映画で最も辛く、そして強い役を演じたジェニファー・コネリーも良い。
アカデミー助演女優賞は文句無しですね。
他の脇役も芸達者揃いで! エド・ハリス!! 渋いっ
この話は、細かく言うとネタばれになっちゃうんで言えないんですけど、(最近こんな映画ばっか)
とても複雑で入り組んだ話なので、このキャストだからこそできたんじゃないかと思います。
そう、ストーリー、これかなり「あっ!!?」っていうどんでん返しが待ってるんですけど
私何故か雑誌で大体知ってて面白さ半減(死)
そこまで書く雑誌が悪い様な気がするんですけど・・・ 
うーんでもまあ知らなかったら映画についていくのがかなり困難だったと思うので、いいとします。
(それに知っててもやっぱり驚いた。本当に吃驚。)
孤高の天才数学者、ジョン・ナッシュの半生。
ノーベル賞を受賞した、実在の人物で、まだ生きてらっしゃいます。
彼はその暗号解読の才能を買われ、政府の秘密調査員となる。
仕事の同僚、妻にまでもその秘密を隠し、暗号解読に励む彼だったがある異変が・・・
ってまあこういう筋書きなんですけど。
とにかくこのストーリーはすごいっす。これ実際にあったことだなんて・・・本当にびっくりですよ。
でもほんと、クライマックスからラストにかけてとても感動的だし、
観た後しみじみさせれれました。
上質な映画を求めてる人に、是非観て欲しいと思います!


プルートで朝食を

ポスターを見て、パッと見このブロンドの美女が、男だとはなかなか気づくまい。
「バッド・エデュケーション」のガエル・ガルシア・ベルナルなど、俳優が美女に扮する役は数あれど
これはその中でもピカイチのはまりっぷりだったんじゃないでしょうか。
主演はアイルランド出身の俳優キリアン・マーフィー。
キリキリ、「バットマンビギンズ」でこれは!と思っていたけど、マジで才能あるわ。
60〜70年代のアイルランド・ロンドンを舞台に、キリアン演じる風変わりな男の子、キトゥンが
自分の母親探し、ひいては人生の意味を探していく姿を、軽やかに、かつディープに描いた作品。
キトゥンは生まれてすぐ教会の前に置き去りにされ、近所の家に引き取られて育つ。
男の子なのに可愛らしいもの・女の子的なものが大好きなキトゥンは、家でも学校でもはみ出し者。
だけどそんなこと気にしない!キトゥンは怒ったりしない、とってもスウィートなキャラクターなのです。
そして高校卒業を機に、実の母親を探す旅へ。
乗り合わせたロック・バンドのボーカルと恋に落ちたり、中年マジシャンのお世話になったり。
色んな出会い・色んな悲喜劇を乗り越えながら、キトゥンは前へ前へと進んでいく。
さあ、キトゥンは無事母親に会えるのか!そして実はそばにいた父親の正体を知ることはできるのか!
ちょっぴりおとぎ話のような、でも生きていくタフさを感じさせる好作品でした。
場面場面をピックアップすると、ユーモア溢れて、笑っちゃう箇所が多いんだけど
(天然系のキトゥンの魅力に取り付かれた男と、ふたりだけの世界に入っちゃってるシーンとか)
一方でこの時代のシリアスな現実をしっかり描いてる。
ドリーミーな部分があるからこそ、ハードな部分が余計に辛くて・・・
具体的に言うとIRAテロですね。
誰よりも平和を愛するキトゥンなのに、罪のない周りの人々がどんどん死んでいく。
普段は白痴っぽい可愛らしさを漂わせているキトゥンが、警察で急に男声で泣いてしまうシーンにはハッとさせられた。
この映画はとにかくキトゥンのキャラクターありきですね。
最初は”女っぽい男”なんだけど、終盤はマジで女。
足腰の細さはただ者じゃないわ、キリアン・マーフィーあれで子持ちの男とは・・・
いつもふわふわ〜と明るくて、チャーミングで、でも本当は誰よりも男らしい。
ファッションもいちいち素敵で、高校時代に自分でリメイクして、色とりどりのボタンを縫い付けたニットなんて最高。
時代を反映したギャグ(女スパイに扮した想像のとこはかなり笑った。ディープスロート!)も楽しい。
脇役陣もナイスです。当時のヒット曲を使った音楽も◎。
見ればきっとキトゥンと、彼女の生き様の魅力の虜になってしまうこと間違いなし。


ホワイト・オランダー

女性の女性による女性のための作品?
もっと言うならば、母親から生まれた全ての女性のための作品。
テーマはずばり”母と娘”
主人公、アストリッドの母(ミシェル・ファイファー)は気鋭のアーティスト。
美しく、強く、奔放な母との暮らし。父親がいなくとも、アストリッドは幸せだった。
しかしその母が男を愛し、そして殺してしまったことで服役してしまう。
里親の間を転々としながら、常につきまとう実母の影。
物語は、アストリッドと4人の母親を軸に描かれます。
まず、実母イングリットであるミシェル・ファイファー。
実は動いている姿を観たのはこの映画がはじめてだったんですが
瞳の力のなんと強いこと!
思わず目が離せなくなってしまうくらい、印象的な瞳の演技。いやあ、凄い。
役柄にぴったりで、エキセントリックかつ魅力的な女性になりきってました。
1番目の里親を演じるのは、ショーン・ペンの奥方でもあるロビン・ライト・ペン。
敬虔なクリスチャンでありつつ、華やかで嫉妬深い女性。
アストリッドが自分の恋人を誘惑するのではないかという恐怖にかられて暴走するさまを演じてます。
2番目の里親はレニー・ゼルヴィガー。
売れない女優の彼女はとてもやさしく、繊細で、可愛らしい女性。
アストリッドに対しても親切に接して、アストリッドも好意を寄せますが
刑務所にいるイングリッドと文通し、面会してしまったことから結果的に破滅してしまう。
3番目の里親レナは、他の母親たちに比べてそれほど出番は多くありませんが
アストリッドの自立を促すような影響を与えています。
面白いのは、母親が変わるたびに、アストリッドのファッションや性格が変化すること。
1番目の里親の下では派手派手しいピンクの、ティーンっぽいファッションだし
2番目の里親の時は、やわらかな色使いの女の子らしい服。
3番目の里親からは、まるで娼婦のようなレザー・ファッションの影響を受けています。
そしてその変化に、毎回眉をひそめる実母イングリッド。
「自分を持て」「他人に惑わされるな」「あなたは私の娘なのよ」と
刑務所にいてもなお、アストリッドを精神的に支配しようとする。
最初はイングリッドを慕っているアストリッドだが、自我が芽生え、苦境を乗り越えていくうちに
いつまでも「ママの娘」ではいられないことを悟るのです。
母親に負けないくらい美しいアストリッド(少女性と官能の魅力的な共存!)を演じた
アリソン・ローマンも素晴らしい。
後半、3番目の母以降の展開がちょっとはやくて、じっくり描ききれてない印象も受けましたが
母と娘という、最も近くて最も難しい関係を、実力派女優がスリリングに演じた良作です。
回想が終わって、現在のアストリッドが静かに過去を清算するラスト、
そしてエンドロールに流れるシェリル・クロウの「Safe And Sound」が映画を完成させていました。

母と娘の関係って、ほんとに、何なんでしょう。
愛しているからこじれて、近いからこそ傲慢になってしまう。
タイトルのホワイト・オランダーとは、白い夾竹桃(普通だとオレアンダーって言うと思うんですが)のこと。
”それは強く美しくあるために毒を放つ花。そう、私の母のように。”というコピーが秀逸。
因みに私個人と母の関係は、アストリッド&イングリッドに近いと思います。
まあ、あそこまで極端な狂気的な愛ではないかもしれないけど
どの娘にとっても、母親というのは絶対的な存在だから、比べられるものではないし。
こういう映画はなかなかないと思います。女性は是非是非。







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