Breakaway/Kelly Clarkson

映画「10日間で男を上手にフル方法」で、”男に嫌われる行動パターン”のひとつに
”セリーヌ・ディオンのコンサートに彼氏を連れて行く”というのがあった。
日本だと「タイタニック」のイメージで止まっているのでちょっと伝わりにくいが
あの手のパワー・ポップ・シンガーは、現在だとハッキリ言ってダサい認識を持たれているようで。
歌が上手いのはわかるけど、面白みもないバラードばっかり歌われてもねえ・・・みたいな。
(断っておきますが、私自身セリーヌ・ディオンの業績は評価してますよ)
そしてその”上手いがダサい”シンガーの後継者という有難くない称号を、
このセカンド・アルバムで絶妙に回避してみせたのがケリー・クラークソンである。

デビュー・アルバム「サンクフル」は、彼女の歌唱力を存分に楽しめる作品ではあったものの
どうもどこかで聴いたことのあるような曲ばかり。
特大ヒットとなったデビュー曲「A Morment Like This」なんて、典型的な90年代バラードだし。
このアルバムからは「Miss Independent」等もヒットしたけど、
これがクリスティーナ・アギレラのボツ曲の使いまわしだったり。
更には自身も歴史から消去してしまいたいであろう、チープにも程がある主演映画
「アメリカン・スター」(「アメリカン・アイドル」で準優勝したジャスティンと共演)が
当然のように大コケしたりと、”オーディション番組出身”が逆に仇となり、B級っぽさが抜けずにいた。

そこでスタッフは考えたであろう、ケリーの歌唱力を活かしつつ
ダサくなくて、他のアーティストと立ち位置が被らず、売れそうなサウンドとは?
答えはそう、”ガール・ロック”に他ならない。
もっとも、ガール・ロックは今まさに花ざかり、雨後の筍の如く新人が入り乱れているが
彼女たちの大半はぶっちゃけアイドルであり、基本的にアイドルなんてものは歌は上手くなくていい。
(その方が可愛いから。たとえばアシュリー・シンプソンを見よ)
その点ケリーの歌声はずば抜けており、それこそこれまでのガール・ロック界に不足していたもの。
これならいけるかも、とスタッフは思ったに違いない。
しかし「アメリカン・アイドル」出身のケリーよりも、ロックを気取る女の子たちの方が
よっぽどアイドルらしいというのは、なんとも皮肉な話じゃないかね?

ともかくそういう目論見で製作されたこのアルバムは、予想以上の大ヒット。
先行シングルに、アヴリル・ラヴィーンが参加していることでも話題になったし
反則気味に小奇麗に写ったジャケット写真(どこのソフトを使ってるんですか、あれは)も功を奏し
アルバムは初登場3位、シングル5曲全てがTOP20入りするなど(うち4曲はTOP10ヒット)
見事2005年を代表するアルバムの一枚に。
まずサウンドのクオリティが高い高い。集結したプロデューサー、ソングライターは
ジョン・シャンクス、マックス・マーティン、ベン・ムーディー、レイン・メイダ
シャンタール・クレヴィアジック、クリフ・マグネス、カーラ・ディオガルディと
今のポップ界で考えられ得る最強の布陣と言える(あとはブッチ・ウォーカーくらいだろう)
しかしやはり、どの曲にも一本筋を通す、ケリーの歌声の重量感が最高。
また、売れてもセレブセレブと垢抜け過ぎず、鼻につくことのない人柄も人気の理由ひとつのはず。
実は日本盤発売当時、プロモーションで来日したケリーのサイン会に参加したのだが
これがもう本当に気さくなお嬢さんなのよ。
今ほどブレイクする前とは言え、アメリカでは立派な有名人。
なのにラフなファッションで、終始ニコニコしていて、ひとりひとりに時間を割いてくれて。
私の番の時、サインしてもらいながら話しかけたら聞こえなかったらしく、
わざわざ身を乗り出して聞きなおしてくれた時は感激しました(因みに思ったより顔も可愛かった)

ケリーにとって、まさに文字通りのブレイクアウェイ=旅立ち となったこのアルバム。
グウェン・ステファニを破ってグラミー賞2部門受賞したのも、実にめでたい。
まだもう少し個性が弱い部分はあるものの、この成功をバネに、更なる飛躍をしてくれるはず。
ケリーの本当のアメリカン・ドリームはここから始まるのだ!


1.Breakaway
映画「プリティ・プリンセス2」のイメージ・ソングとなった曲。
更にアヴリル・ラヴィーンが共作していることでも話題になりました。
映画の主人公、アヴリル、そしてケリーの3者に共通するような
”女の子が田舎から世界へ向けて飛び立っていく”という歌詞が共感を呼ぶ。
抑え気味のボーカルが心地よいです。
でもリリース当時は、私はケリーに対してあまりいい印象を持ってなかったので
そこそことは思いつつ様子見。

2.Since U Been Gone
ケリーへの評価が一気に上がったのがこの曲。
別れた彼氏にカウンターパンチを食らわせるような小気味良いアップ・チューン。
風通しの良いサウンドと、弾けたケリーの歌声にテンション上がりまくり!
部屋でケリーが暴れまくるビデオも可愛かった。

3.Behind These Hazel Eyes
一転してシリアスなロック・バラードへ。
このビデオも、結婚式をテーマにした白ケリーと黒ケリーの共演(?)が見ごたえあり。
イントロのドラムの音が超好き。
あと印象的なタイトルがいいよね。

4.Because Of You
ピアノの音色が流麗な、美しいバラード。
失恋がテーマですが割と複雑な感じの歌詞です。
しかしこれ元エヴァネッセンスのベン・ムーディーの作曲&プロデュースですが
エヴァネッセンスの「My Immortal」に似すぎだよねえ。ベンいいのかそれで。

6.Addicted
アルバムの中ではかなりアダルトな雰囲気の、ムード溢れる曲。
とはいえサビでは力強い歌唱が聴けます。

9.You Found Me
めっちゃ私の好きなタイプの楽曲!
と思ったらやっぱりカーラ・ディオガルディ&ジョン・シャンクス作曲だわ。
”あなたが私をみつけてくれた”っていうこの歌詞は素直にいいなあと思う。

12.Beautiful Disaster
ファースト・アルバムに収録された曲のライヴヴァージョン。
バックはピアノ一本で、ケリーの歌声が響き渡る。
最初はファースト・アルバムの曲をラストに持ってくるのってどうよ?と思ったけど
彼女のキャリアアップを端的に表わした選曲かもしれんね。
観客の歓声もいい感じ。




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