Be Not Nobody/Vanessa Carlton


ピアノ、バレエ、美貌、コロンビア大学に籍を置く知性、
そしてなによりデビュー曲「A Thousand Miles」の、澄んだ小川のようなきらめきから、
ヴァネッサには可憐でロマンティックなイメージがあるかもしれない。
事実、私もアルバムを聴くまでは、お嬢さん系のアーティストだと思っていた。
だから、聴いてみてまず驚いた。
表現方法はポップで、その手段はクラシックピアノでも、このアルバムの方向性は完全なるロックである。
「ポップ志向のフィオナ・アップル」と評されていたのにも納得。
本格シンガー・ソングライターの登場を確信させるものであった。

ヴァネッサは元々アーティストを目指していた訳ではなく、青春時代を名門バレエ校で過ごす。
クラスでもトップの成績だったが、芸術と無縁の授業に失望、
17歳で退学し、その虚無感をうめようと音楽活動を開始、
そして絶対にアーティストになるんだと誓ってデモテープを送りつづけたという経歴をもつ。
このことからもわかるように、ヴァネッサは非常に自我の強い女性らしく、それは音楽にもしっかりと表れている。
とにかくピアノとポップ・ロックの融合がなんといっても新鮮で美しい!
時に明るかったり、華やかだったり、重々しかったりと、絶妙な雰囲気を醸し出す。
ヴァネッサの歌声は個性的で、甘く少女の面影を残しているものなのだが、
それがただ可愛いだけじゃなく、都会の孤独のような空気さえ感じさせるのは、
独特の、しぼりだすような、ちょっと歪んだ(?)歌い方によるものかもしれない。
ドスが効いている、というのは言い過ぎかもしれないけど、でも本当にそういう感じ。
歌が上手い、というよりは巧い、といったアーティストで実に歌声に存在感がある。
特にライブバージョンなどを聴くと、これが同じ曲か!と思えるくらい迫力があり、
ポップと言うよりは本気でロックを聴いてる気分。
そして個人的に注目したいのは自ら手がける歌詞。
ヴァネッサの詩はどれも、少女小説のような趣きがある。
「Ordinary Day」などまさに、”ある平凡な日、平凡だった男の子がふいに・・・”という内容。
しかし読みすすめていくと、フィクションのストーリーの中に、彼女の哲学・美学、
更には社会的メッセージまでもがこめられていて、ここでもヴァネッサの個性に感心させられる。
堕落した世界を歌った「Paradaise」などはその最たる例。
平凡な、アイドル的な歌詞に終わらない、ヴァネッサの個性が痛快にさえ思えてくる。

ヴァネッサ・カールトンの音楽は、その美しい旋律から、癒し系に分類されることもあるだろう。
確かに彼女の歌には適度な品位があり、全体的に見れば、美しく芸術的でファンタジックである。
だがそう思って甘く見ていると、不意に驚くほどの”真剣”と”本格”に捕らわれてしまう。
ヴァネッサ・カールトンは薔薇だ。麗しく瑞々しい、だけどその影には鋭い棘が見え隠れする。
そしてその棘こそが、彼女の音楽を一層引き立てるのだ。

楽な選択肢を捨て、飽くまで自己を追求する道を選んだヴァネッサ。
アルバムタイトル「Be Not Nobody」とは、誰でもない人になってはいけない、という意味だという。
この普遍的かつ、最も難しい人生のテーマへの、彼女自身の回答こそが、このアルバムなのである。


1.Ordinary Day
晴天を思わせるような明るくて可愛らしい曲。
上に書いたとおり、歌詞も少女チックでかなり爽やか。
確かにもうちょっとこの手の曲があったほうがいいかもとは思ったりするんだけど。

3.A Thousand Miles
彼女の代名詞になった感のあるスマッシュ・ヒット・ソング。
ノエビアのCMソングに起用され日本でも話題に。
(関係ないけどノエビアのCMのセンスってもの凄くいい。前はCorrsだったし)
とにかく「ラ・ランラ・ラン・ラ・ラン・・・」というピアノのイントロがあまりに印象的で
ラジオでもヘヴィープレイされまくった。
私はこの歌詞がやばいくらい好きです。手帳に書き写してる(笑)
失恋の歌だけど、素直な感情と文学的な言い回しで美しい詩。
彼女のクラッシックとポップのセンスの融合の、最も素晴らしい例のひとつ。
2003年のグラミー賞RecordOfTheYearとSongOfTheYearにノミネートされ、
ダブルノミネートはこの曲と、結局受賞したNorahJonesのみ。
完全なるエヴァーグリーン・ポップ!

6.Sway
サビの波打つようなメロディーと抑揚を排したボーカルが耳に残る。

7.Paradaise
「楽園にいる人々は、努力を忘れてしまった」といった趣旨の(うろおぼえ)歌詞で
強い社会的メッセージが込められた曲。
5〜8くらいに暗い曲調が続く。

8.Prince
これも歌詞が鋭くて印象的。
サビの繰り返しの幻想感と、「oh, baby how」のフレーズが良い!

9.Paint It Black
かのローリング・ストーンズのカヴァーで、エキゾチックなイントロもさることながら、
かなりハードなヴァネッサの歌声が印象的。
暴力的で吐き捨てるような歌い方がなんともいえない良さ。

10.Wanted
バックで鳴り響きつづける、転がるようなピアノを、自分で弾いているというのだから脱帽である。
サビの「more than wanted」のあとで暴走する歌声にはしびれる。
日本盤にはリミックスも収録。

11.Twilight
タイトル通り(=黄昏)メロウな色彩をもつ曲。
内省的な雰囲気ながらも希望を感じさせる。
まるで映画の1シーンのよう。





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