2011 Saicish Music Award



●Albums Of The Year



1.Birdy/Birdy
正直なところ、2011年はリストアップした10枚のうち、「これが絶対1位!!」というアルバムが見当たらなかった。
ただ消去法といったら聞こえが悪いけど、もっとも上位にふさわしいと感じたのがこの作品でした。
イギリスはハンプシャー出身の15歳、本名ジャスミン・ヴァン・デン・ボゲルデ。
Bon Iver「Skinny Love」のカバーを一聴すれば、侵さざるべき神聖な歌声に息を呑むはず。
ピンと張られた糸が揺れ、共鳴するように音が揺れ、空間が揺れ・・・
アルバムのほとんどはカバー曲なのですが、フェニックス、The XX、Chery Ghostなど、
15歳に歌わすにはちょっとオシャレすぎるんじゃないの?と意地悪く見てしまいそうな選曲も
彼女の喉を通すと、古い聖歌のようにすら感じられる。
アメリカではほぼ無名ながら、大ヒット映画『ハンガーゲーム』のサントラに起用されるなど
流れが確実に来ているはず。セカンドアルバムはきっととんでもないことになるよ!
2.FOURTEEN/J
ごめんなさい。今までベスト盤はランキングに入れないと思ってたのに
ごめんなさい。買ったのは12月中旬なのにこんな上位に入れてしまって
ごめんなさい。とにかくもうかっこよすぎて理性を飛び越えて好きになってしまって。
というわけで、私の人生をいきなり狂わせた男・LUNA SEAのベーシストJのソロ作です。
ソロ14周年を記念したセルフカバーベストということで、かなりお得で充実の内容。
デビュー当時から比べると段違いにボーカルが上達しているので、初期の名曲が今の声で聴けるのが嬉しい。
時代によって細工や嗜好は少しずつ違えど、どの曲もとことんキャッチー。
ヘヴィなリフのメインラインから一転、合唱必至のメロディに転調するのが気持ち良すぎる「PYROMANIA」、
闇を裂くようなサビに打ち抜かれる「break」、感動的なバラード「walk along」
地を這うようにダウナーでグランジ風味(ギターはスラッシュ!)の「But You Said I'm Useless」、
フーファイターズを彷彿とさせる「RECKLESS」、少年のように熱狂せずにはいられない「go crazy」・・・
もう名曲だらけで書ききれないよ! かっこよすぎてつらい。
そして一番大事なのは、14年間変わらぬタフでポジティブなメッセージ。愚直なくらいブレてない。
そのブレなさに姿勢を正され、血を熱くたぎらされる。ロックヒーローってこういうことだわ。
3.Love&Stadiums/Mateo
アリシア・キーズとタッグを組んでいることで知られるプロデューサー、
クルーシャル・キーズ肝入りの新人R&Bシンガー・マテオの、ミックステープがこちら。
デビュー前といえどクオリティは保証済みで、アリシア周辺が好きな人にはたまらない音。
あっと驚くようなカバーやサンプリングなどインディーズならではの趣向を楽しめる。
しかも合計17曲がまるっとフリーダウンロード! いい時代になったもんだ。
Snow Patrolの「Chasing Cars」を下敷きにしたカニエ「Runaway」のカバーや
ピアノの旋律メインに再構築されたLADY GAGA「Bad Romance」のカバーなど
一見脈絡のない選曲のようでありながら、どの曲も一捻りきかせて自分のものにしているのがお見事。
一方、クセのない綺麗な歌声を活かしたオリジナル曲も素晴らしい出来です。
特にGoapeleをフィーチャーした「Don't Shoot Me Down」は、胸をしめつけられる激シブメロウな美曲。
4.On A Mission/Katy B
その知名度に反して、周囲の耳利きたちのあいだでもっとも評価された新人がこのKaty B。
UKダブステップ、ガラージの最新アップデート盤である本作は
ポップ&キャッチーであると同時に、ストリート産直の若さクールさに溢れていて
大人にまったく媚びてない感じが、生意気なほどイケてる!
この高揚感は、かつてのクレイグ・デイビッド、少し前だとリリー・アレンが出てきたときのものにも通じる。
こうやって地下から若い子がポンと出てくるのはさすがロンドンという感じ。
「Katy On A Mission」みたいに、曲に自分の名前を入れ込むのも洒落てるし
アシッド・ジャズ風の「Hard To Get」で、アルバム最後に自己紹介のセリフが入るのもかっこいい。
こういう自由奔放なポップスがもっと聴きたいんだよ!
純粋なポップ・アルバムとしての評価でいえば年間ベスト。
5.James Blake/James Blake
いったいこの音楽は何と呼べばいいのか、よくわからないままずっと聴き続けた一枚。
クラブミュージックと言うには内省的すぎるし、シンガーソングライターと呼ぶには匿名的すぎる。
そしてアンビエントの枠におさめるには、その歌声はソウルフルすぎる。
ただ、輪郭をブレさせながら重ね奏でられる音と歌が、残像となって頭から離れない中毒性を持つことは確か。
「My brother and my sister don't speak to me,but I don't blame them.」
という歌詞だけがひたすら繰り返される「I Never Learnt To Share」などは
不気味さすら感じつつも、何度聴いても新鮮で、まったく飽きないのが不思議。
音の足し算と間の引き算で構築されたサウンドは、人肌の温かさのマシンの生み出す音楽という感じもする。
ラスト「Measurements」のゴスペル風歌唱の神々しさに、人と機械の到達点を見る、と言ったら言い過ぎか?
6.Talk That Talk/Rihanna
今もっとも美しくてセクシーでハードボイルドな女、それはリアーナにほかなりません。
3年連続のアルバムリリースということで、前作もまだヒット中だったにもかかわらず
2011年最大級の衝撃シングル「We Found Love」を投下して空気を変えてみせ
自分で自分を塗り替えてしまう、その手腕と度胸は「覚悟を決めた者」だけが持ちうるもの。
その「We Found Love」が神過ぎて、2011年秋以降はほとんどこればっかり聴いていた。
どこまでも透明なトラックに、光の粒子をまき散らしながら上空へ旋回していくメロディ。
精神が肉体から乖離する錯覚を憶えて、聴き過ぎたらヤバいのではと不安になるほど。
音と一体化しながら高みを目指すリアーナの姿は、現代のシャーマンにすら見える。
この曲を含む前半が完璧すぎるだけに、“録って出し”感の強い後半は少し物足りなかった。
でもその分、いよいよ次に大傑作が来そうな予感もあって・・・震えて待つ!
7.+/Ed Sheeran
Groove Cruiseのすけっじ君がただ事ではないレベルでハマりまくっていて
件の「You Need Me, I Don't Need You」を聴いてみたら、確かにこれはクセになる。
ウィキペディア、ガブリエラ・チルミ、ブリット・スクールなどの
“イマ”な単語がぶち込まれたスーパー早口のライム、グライムmeetsフォークなサウンド。
Jason MrazやKT Tunstallを彷彿とさせるけど、もっとアーバンでビートが強め。
一番最後に一瞬だけ本人の顔が写るモノクロのビデオも超クールだった。
アルバム全体で見ればこの曲は特殊で、正統派SSWマナーの「The A Team」をはじめ
美メロでミッド・テンポのアコースティックなUKのSSWらしい曲が主流なのだけど
「The A Team」で歌われているのも、厳しい社会情勢を背景にした娼婦の一生だったりして
広い意味での若い世代の代弁者になれる存在なのだと思います。
8.Take Care/Drake
“静謐HIP HOP”という独自路線を切り拓きまくっている貴公子ドレイク。
本作はさらに世界観を深め、ジャケット通りの夜のホテルのような作品になっています。
1曲目の「Over My Dead Body」で、初っ端から流れてくるのが幽玄な女性ボーカルというインパクト!
しかもそれが女性SSW好きなら感涙のシャンタール・クレヴィアジックだからそりゃ驚きますよ。
ロックリスナーにもかなり聴きやすいはずだし、このセンスは10年代のアーティストなのだと実感する。
白眉はタイトル・トラックである「Take Care」。
アンビエントの極みのごとく、限界までそぎ落とされたサウンドに
普段の我の強さをひそめたリアーナが、透明感のあるミステリアスな歌声を乗せる。
あくまでクールな佇まいを保ちながら、クライマックスに向けて徐々に熱が高まるけど
弾ける寸前であえて手を離してしまう、そんな儚いロマンチシズムがこのアルバムには詰まっている。
9.4/Beyonce
いやほんと聴かせるわー、という評価に尽きます。
いつもならドラマティックなバラードかゴリゴリのアップチューンでドカンと幕開けするはずが
冒頭3曲、なんと連続で地味なミッドチューン。でも惹きこまれてあっという間に時間が経ってしまう。
さらに相乗効果で、その後に流れる4曲目「Best Thing I Ever Had」の華やかさは格別。
私はソロデビューアルバムはむしろミッドチューンが邪魔で嫌いだったので
こんなふうにビヨンセをじっくり楽しむ日が来るとは思っていなかった。
上品なタッチでまとめられた曲たちに生命を吹き込むビヨンセの歌声は、力強くてとても美しい。
またアートワークの格好よさは過去No.1だと思います(初回限定盤のジャケットは最高!)
10.もしもし原宿/きゃりーぱみゅぱみゅ
いわゆる青文字系の、原宿を中心にしたガールカルチャーってずっと注目されてるけど
個人的には、この10年以上ずっとYUKIの影響下から誰も抜け出せていないと思ってましたが
その歴史を書き換えるニューアイコン・きゃりーぱみゅぱみゅが遂に現れたことを嬉しく思っています。
中田ヤスタカプロデュースと聞いたときは、「はいはい、例の感じね」と早合点したけど
いざ蓋を開けたら、「大人のサブカルおもちゃ」でも「おしゃれ趣味人の余興」でもない、
同世代の女子たちのための、とびきりキュートでパワフルで毒の効いたガールポップだった。
ヤスタカ先生すら、きゃりーの引力にスキルを引き出されて楽しんでいる感じがするもんね。
ガールオブイヤー、いやガールオブ10年代になるアイコンなのはもう確実。
来たぜ新時代。うぇいうぇい開けてきゃりーの道を!



●Songs Of The Year


Rihanna feat.Calvin Harris「We Found Love」:
ぶっちぎりの年間ベスト曲。何度昇天したことか!
音的にはこんなにアガるのに、スーパービターな歌詞というアンバランスさも魅力だった。

Adele「Rolling In The Deep」:
2011年はこの曲を外して語ることはできないですよね。
いろんな人のカバーもいいし、カラオケで歌っても楽しいけど、やはりアデルの喉あってこそ。
何もかもが旬な曲。ただしアルバムは前作のほうが好き。

加藤ミリヤ「勇者たち」:
この曲で加藤ミリヤは次のステージに行ったと思う。
「着うた歌姫」などではなく、シンガーソングライター(もっとも、彼女はずっとそうだったのだけど)と
襟を正して紹介したいほど、先入観抜きで多くの人に聴いてもらいたい名曲。
避けがたい別れを一歩引いた目線で歌う姿は、3.11とも重なって、時代を背負う覚悟を感じさせた。
“生まれ変わったらもっといい人生を送りたいな 不器用なままでは世間は冷たい”という歌詞にハッとする。

Demi Lovato「Skyscraper」:
摂食障害からのカムバックを高らかに宣言する、涙なしでは聴けない力強いバラード。
ビデオも綺麗に撮られていてよかった。10代女子たちのロールモデルになってほしい。

ゴールデンボンバー「女々しくて」:
6月に華月ちゃんがカラオケで歌った瞬間、「何これ!?」と衝撃&笑撃を受けた。
この1年での大ブレイクも納得・・・とにかく面白くて踊れて楽しくて、こういう曲がいい歌謡曲!

UVER WORLD「CORE PRIDE」:
戦闘モノのアニメ主題歌にふさわしい、中2病炸裂の攻め攻めなアップチューン。
真正面すぎる歌詞&歌唱に赤くなりつつも、ブラスの効いた贅沢な曲構成にはアガらざるを得ない。

●2011年作以外でよく聴いた曲●

LUNA SEA「ROSIER」:
何も言わずにこの映像を見てくれ。
「行くぞドォーム!!!」の箇所で何回聴いても失神する。






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