2010 Saicish Music Award



●Albums Of The Year



1.The ArchAndroid/Janelle Monae
5月にタワレコでアルバムを試聴→即買いしてから、1位の座は確定してました。
ソウル、ファンク、オペラ、ミュージカル、ロック、ジャズ。
あらゆるサウンドの垣根の上を、蝶のようにひらりと舞い、かつ蜂のように鋭く刺す。
「2719年・未来都市メトロポリスに生きるアンドロイドの物語」なんて壮大な設定に
まったく負けていないどころか、こちらの予想を裏切って次々飛びだす名曲群に感服するばかり。
ボーカルも曲に合わせて色を変え質感を変え、ときに迫り、ときに控えながら、最良の仕事を聴かせる。
なによりジャネル本人のキャラクターというか、アーティストとしての在り方が新鮮&真摯で。
軽やかで、自由で、オープンで、賢くて、チャーミングで、純粋で、恐れていない。
精神病棟で大勢の患者と歌い踊るファンキーなアップ・チューン「Tightlope」のビデオを見れば一目瞭然。
コスチュームではなく、ユニフォームとしてタキシードを着用しているという矜持にも胸を打たれる。
本当に未来人なんじゃないか?と思わせるくらいの、圧倒的な才能が爆発した名盤!
2.My Beautiful Dark Twisted Fantasy/Kanye West
プログレッシブ・ヒップホップ、ヒップホップの交響詩、ヒップホップ・オペラ・・・
呼び方はなんでもいいが、静と動の曲を取り揃えながら、アルバム全体が壮大な物語として機能している。
愛母の突然死をきっかけに、4部作構想を変更してまで製作された前作『808s&Heartbreak』は、
これまでのポップスターらしさを封印した、実験的かつ哲学的な作品でした。
賛否両論ありましたが、ある意味あそこで“一度死んだ”からこそ、本作が生まれたのだろうと思う。
それは本作をベースした映画『Runaway』のモチーフが、不死鳥(=死んで新たに甦るもの)である点にも明らか。
“自意識過剰なパフォーマー”である自分をプロデュースしてきたカニエが
その自意識の在りかをキャラクターではなくアルバムそのものに転化させた、というか。
斬新な感覚に襲われる「Power」、リアーナのボーカルが鮮烈な「All The Lights」、
獣の鳴声やキツめのビートが恐ろしい「Monster」、ピアノのループが印象的な美曲「Runaway」など粒ぞろいですが
特に「Lost In The World」〜「Who Will Survive In America」にかけてのカタストロフィーは鳥肌モノ。
無我夢中で走り切ったあと、終演後の拍手を聞いてようやく我に返る全70分の超大作。
3.Happiness/Hurts
英国万歳と敬礼したくなる、耽美で端正でクラシカルなエレクトロ・ポップロック。
薄明かりの夜更けに、上質なヴェルヴェットの布で頬をそっと撫でられるような官能とときめき。
一見敷居が高くていけすかない風ですが、そんなことはなくとても聴きやすかった。
『Hapiness』というタイトルどおり、手段はゴスっぽくても、目指す地点に光がある。
オーケストラの荘厳な調べに送られて「The Water」で本編終了したのち、
隠しトラックとして、美しくやさしい愛の賛歌「Verona」が待っているという構成もニクい。
徹底された美意識が、音楽はもちろんアートワークにまで及んでいて目にも楽しい。
アルバム一番の名曲「Stay」のビデオは、曇った海岸での詩的な風景が幻想映画のようですらあった。
1月の来日公演も超楽しかった。まるでマイクスタンドをダンスパートナーのようにして
大胆に抱きしめ、捌き、翻すセオ様にハァハァしないなんて女子じゃない!
4.The Family Jewels/Marina And The Diamonds
はじめに聴いたときは、アクの強さにちょっと腰が引けてしまったのですが
3曲目「I Am Not A Robot」の良さに気づいて聴き直したら、どっぷりハマってしまいました。
ジャンル分けすれば女性SSWでしょうが、ウェールズ人とギリシア人のハーフという出自が象徴的なように
正統派ではなく、どことなくメロディラインにクセがあり、パンチが効いています。
まっすぐ突き抜けてくるかと思えば、いきなりグニャッとしたり・・・
歌、メロディ、音とすべてに存在感があって、中毒性が高い。
かといって小難しいわけではなく、サービス精神過剰なくらいエンタメ・ポップを貫いている。
クイーンの音楽性を、女ひとりで受け継いでいるといったらわかりやすいか。
そんななか、前述の「I Am Not A Robot」は涙なしには聴けない美しすぎるバラード。
ほぼアカペラではじまり、徐々に盛り上がっていくのですが、大サビではもはや神々しいほど。
マリーナの歌唱も比較的抑えめで、孤独に寄り添う切々とした思いが伝わる名曲です。
5.Compass/Jamie Lidell
エレクトロ職人からソウルシンガーに転向したイギリスマンの3枚目。
BECKが全面的にプロデュースを手掛けた、アナログな手触りの滋味掬すべき逸品。
大胆にエフェクトをかけて自由に遊んだジャズ・ファンク「Your Sweet Boom」や
マイケル・ジャクソン風味で軽やかな「Enough's Enough」などもいいのだけど
個人的には10曲目のタイトル・トラック以降の流れが特にツボでした。
ざらりと砂をなでるような、ジプシーの懐かしい旋律が遠くからたゆたってくる。
星の光と古い地図だけを頼りに、キャラバンは道を往く。
歌いすぎない、物語るようなジェイミーの歌声は、物悲しいと同時にどこか温かい。
わずか2分間のラスト曲「You See My Light」は、まるで古いレコードから流れてきたジプシーの子守唄。
6.Teenage Dream/Katy Perry
確信犯的にも確信犯すぎた、2010年のガール・ロック決定盤。
“LA版「Empire State Of Mind」”にしてはおバカで悪趣味な「Curifolnia Gurls」で油断させておいて
2発目に詩も曲もビデオも直球勝負な本気曲「Teenage Dream」を投入。
さらにストリングスの音色も感動的な「Fireworks」でダメ押し。これはもう作戦勝ちです。
この手法はP!nkの得意技でもあったのだけど、次世代ロック歌姫の座はケイティがいただくということか。
とにかく1曲目〜5曲目の流れが完璧すぎて、そのまま青春映画のサントラになりそう。
20代後半・既婚・勝ち組にもかかわらず、てらいなく“フツーの女の子の味方”でいられるキャラは見事。
後半はやや失速するけど、11曲目「Hummingbird Heartbeat」が大トリらしい名曲。
本作の彼女は、ガール・ロックに求められる要素をひとりで全部引き受けたほどの勢いがあった。
ビッチ系SSWの走りであるボニー・マッキーの名をクレジットに見つけたのも、個人的には嬉しい。
7.Loud/Rihanna
「もうどんな変化でも驚かないぞ!」と心構えができていたぶん、
ハードでダークな前作から、陽光溢るるエレクトロ・ポップへの大胆シフトチェンジも
驚くというよりむしろ「この娘、相変わらずやりよるな」と感心してしまいました。
開かれた明るい自由な空気で聴きやすいけど、エッジィ&スパイシーな隠し味が効いてる。
キャッチーなアンセム「Drink That」でアヴリル・ラヴィーン曲をサンプリングしたかと思いきや
「Raining Men」ではニッキー・ミナージを早々に招いてトリッキーに攻め、
ラストはエミネムとの本気汁のしたたる「Love The Way You Lie Part2」で〆。
白人でも黒人でもない独特の出自を、実に上手く昇華させていると思います。
あと本人のプロダクションセンスがいいんだろうなあ。ハズレがない。
問題は、22歳でここまで貫禄出ちゃって、今後どうすんの?ということですが・・・
8.Thank Me Later/Drake
ついにドロップされたヒップホップ界のニュー貴公子、ドレイクのフルアルバム。
全体的に抑えめでクールなトラック、ボリューム、豪華だけどやりすぎじゃないゲスト陣など
しっかりとツボを押さえてきている好作だけど、そのぶんちょっとまとまりが良すぎたかな。
先行シングルの「Over」はさすがに「待たせたな!」感があって格好いいけど
まんまカニエの前作風味な「Find Your Love」など、ドレイクがやる必然性がない曲もちらほら。
個人的には「Forever」みたいなノリで、もっと勢いよく攻めてほしかった。
ただ裏を返せば実によく練られたアルバムで、新人でここまでコントロールできるのは凄いと思う。
「Fireworks」、「Shut It Down」あたりのメランコリックな空気の出し方はさすが。
次回作でもっとザックリした断面を見せることができれば、もっともっとイケメンになるはずです。
9.Madlib Medicine Show 7:High Jazz/Madlib&Yesterday New Quintet
正直このジャンルに関しては超初心者なので、大したことが書けないのですが・・・
ラッパー/DJ/プロデューサーとして活躍するアンダーグラウンドヒップホップの帝王マッドリブが
毎月1枚ずつアルバムをリリースしていくという野心的な企画「Medicine Show」。
毎回テーマ、アートワークの雰囲気をガラリと変えてきて、発表されるのが楽しみでした。
本作はその第7弾、Yesterdays New Quintetの形態で奏でるジャズ・インスト作品。
近未来のジャズ・バーでかかってそうな、スモーキーでセクシー、かつ宇宙的な浮遊感で
いい意味で“かゆいところに手が届かない”、引き際を心得た大人のための音楽という感じ。
具体的に何がどうと言えないんだけど、とにかく流れてるだけでかっこいいアルバムです。
09年の「Fall Suite」、Yesterdays New Quintetの10年作「Miles Away」とあわせて評価したい。
10.Annimal/Ke$ha
正直、この娘を可愛いと思ったこともなければ好きだと思ったこともないんですが
なんだかんだでよく聴いた! 「好きじゃないのに聴くって何よ?」って感じだと思うけど
超ハイテンションなハイパーエレクトロポップが単純作業のお供に最適で、仕事中によく聴きました。
ドンキホーテで流れてる音楽というか・・・頭を無にしてアドレナリンを放出できる麻薬サウンド。
「Your Love Is My Drug」「Kiss N Tell」「Tik Tok」あたり、否応なしに頭が悪くなる!(いい意味で)
とはいえアルバムには「Backstabber」とか「Boots And Boys」とか抑えめの変化球もあったりして
意外とよく練られているなと思いました。それでも全編通してパワーが落ちないのがすごい。
歌唱力がとか、パフォーマンスがとか、すでにそういうレベルの話じゃないんだよね。
何気にデラックス盤のシングル「We R Who We R」も良くて・・・って、なんだかんだ好きなのかな(笑)


次点
Hello!“Z”/ねごと
Record Collection/Mark Ronson And The Business International
Ursa Major/Third Eye Blind



●Songs Of The Year


Katy Perry「Teenage Dream」:
アルバム評のほうにも書きましたが、今年のベストソングは間違いなくこれ。
大人になっても青春はあるんだということを、否応なく勇気づけられてしまう。
静かに始まって、サビでドーン!な構成もすべて私好みだった。

KARA「ミスター」、「ジャンピン」:
サカキさんのプッシュで、10年頭くらいから気にはしていたんですが
まさかここまでハマってしまうとは・・・おかげで忘年会にばっちり踊ることができました。
親しみやすい可愛らしさと、プロのアイドル!という気概が同居している稀有な5人組。ぞっこん!

NEWS「エンドレスサマー」、「秋の空」:
東京ドーム公演に行ったら、まんまとNEWS熱が再燃。
方向性が見えにくかった過去作と比べ、新アルバム『Color』&ツアーはグループの存在意味が明確になった感があった。
2曲とも美声ユニゾンとせつなく爽やかなサビのメロディーが秀逸。

The Chemical Brothers「Swoon」:
深海に潜った先が宇宙空間だった、みたいな壮大なエレクトロ・チューン。
いつまでも身をゆだねていたい宇宙の波動。若手には出せない大人の妙技が光る。

ねごと「ループ」:
これまた独特の浮遊感が魅力。10代ガールバンドならではの、ゆるいセンスが絶妙。
サビの「いちにさんし、宙ぶらりーん」で、背中の毛がふわっとなでられる感覚がクセになる。

Selena Gomez & The Scene「Naturally」:
今年のベスト・オブ・アイドル曲。ベタだしヘタウマなのに何故かハマる。
大サビ直前の「You!」のシャウトに何度悶絶したことか・・・万華鏡のようなビデオも最高!

●2010年作以外でよく聴いた曲●

MGMT「Kids」:
映画『ローラーガールズ・ダイアリー』のクライマックスで印象的に使われていて
改めて好きになった曲。若者のアンセムとはまさにこういうのを言うのだろうなあ。
日本のアイドル、バニラビーンズがカバーしたバージョンも何気にいい出来。

トルネード竜巻「言葉のすきま」:
残念ながらすでに活動休止したバンドですが、この静かなバラードが好みすぎて何百回と聴いた。
「伝えたいことがいっぱいで でも言えることは少なくて
 でも そうでしょ? せつないのと痛いののあいだをちゃんと言おう」ってフレーズが刺さりすぎる。
中期ナタリー・インブルーリアあたりにも通じる、揺れる叙情性が美しい。





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