2009 Saicish Music Award



●Albums Of The Year



1.CHIYORI/CHIYORI
何気なく1曲目「Call Me」を聴き始めた途端、周りの空気が変わった。
レゲエ、ダブ、和音階、歌謡曲とさまざまなジャンルを飲み込んだ、原始的かつ幻想的なサウンドの完成度はもちろん
力強いのに少女のように潔く、何故だかずっと前から知っていたような、内に潜ってくるその不思議な歌声。
霊感の欠片もないマテリアル・ガールの私でさえ、森羅万象の神秘に一瞬触れられるような・・・
「そのとき歴史が動いた」のVTRかのように、太古の日本の、はるか南方に続く海が見えました、マジで。
ただし、さらに重要なのは、CHIYORIというシンガーが決して憑依型、トランス型ではなく
あくまで普通の女子の目線で、孤独や焦燥感、仲間と踊る悦び、好きな人への想いを歌っているということ。
自然をメインモチーフにしているのは「悲海」と「星ノ降ル夜」くらいで、あとはストリートの匂いのほうが強いくらい。
「Call Me」で“渇き”について歌い、その後「悲海」、「しとしと」、「雨のキミ」と水に関する切なめの曲がきて
ラストで「After The Rain」、「Sunday」と、いつしか渇きが癒され、ゆっくり晴れ上がっていくという構成も素晴らしい。
しかも全編作詞曲を手掛けてるって・・・凄すぎ。歌うために生まれてきた人、と断言してしまいたい。
2.ANJULIE/Anjulie
日本では“ネリー・ファータドmeetsダフィー”というキャッチコピーがつけられた女性SSWのデビュー盤。
ラテンの血をルーツに持ちつつ、トロントで育まれたジャンルレスな音楽性は確かにネリーの系譜だけど
声はダフィーより柔軟性があって、クセがあるかと思いきや、シアバターのようになめらかで艶っぽい一面も。
デビュー前にソングライターとして活躍していたという経歴どおり、とにかく曲がポップでキャッチー。
しかも、いけない恋に落ちそうな予感を、007のテーマ曲のようにスリリングに表現した「Boom」に始まり
「Crazy That Way」では、息が詰まるほど恋してしまった狂おしい感情を、ピアノで静かに歌いあげたり
一転して、オールディーズっぽい「Love Songs」で、昼下がりのビーチサイドのように開放的な歌声を響かせるなど
曲のテーマにあわせて、サウンドやボーカルの雰囲気を変えていて、しかもそれが自然なのがいい。
アルバムには入ってないんだけど、アニー・レノックスの同名曲をサンプリングした「Why」も名曲すぎます。
まだ地味な存在だけど、誰か有名なアーティストにフィーチャーされたりしたら、一気に花開きそう。
3.The Fame Monster/Lady Gaga
08年末に出た「Fame」のほうはあくまで“イロモノ感”を前置きして聴いていたため
「アルバムの中身は、意外とツンデレで可愛いな」などと思いながら軽く楽しんでいたんだけど
ブレイク後に送りだされたこのEPを聴いて衝撃・・・掻き鳴らされる音の深みが段違い!
パーティーでハメ外してたかと思いきや、急に東ローマ帝国の戴冠式に場面が切り替わったよう。
「アーアーウララー」のリフレインが、脳内に白い毒を蝕ませていく「Bad Romance」をはじめ
ポップ・エレクトロをさらに鋭化・深化させた「Monster」、アナーキーかつセクシーな「Tooth」など
どこを切り取っても、重厚なサウンドと、それに見合った風格が漂う。
そして“クイーン”でも“プリンセス”でもなく、自ら“モンスター”を名乗ることで
他の誰とも違う、己の道、茨の道を突き進むことを世界中に宣誓したガガ。
久しぶりに音楽シーンを揺るがしそうな怪物の出現に、慄きながらもゾクゾクしてしまう、この背徳的な悦び!
4.THIS IS MY SHIT/80kidz
正直、ゴリゴリのエレクトロってあまり得意ではないんですが、このアルバムだけはよく聴いた。
1曲目、これから来るビッグウェーブを予感させるようなピアノのイントロに始まって
そっから有無を言わさずぶっとくギラギラなベースラインが血管内に入ってきて、身体が勝手に動き出す!
大きな手で瞼をこじ開けられるように、無理やり全身を覚醒させられるドラッグ感がたまらん。
特に3曲目までの流れ(「Turn Baby Turn」で闇に花開くようなあの快感)は悶絶モノ。
でもメロディーがしっかりしているのと、どこか乾ききってない、人肌の湿りけをほのかに感じるのが
あえて言うなら他のエレクトロ作品との違いかも。
中盤は若干冗長だけど、ラスト近く「Frankie」からの畳みかけがまた最高。
クラブに行っても、場違い感ですぐいたたまれなくなる私のような人間にとって
サタデーナイトに1Kの部屋で踊り狂うには最高のアイテムでした。
5.Rated R/Rihanna
ファーストでレゲエギャル、セカンドでアイドルディーヴァ、そしてサードでバッドガールへと
アルバムを発表するごとに、こちらの予想を八艘飛びで上回って、変身を遂げてきたリアーナ。
こっちもいい加減慣れてきたと思ってたのに、この変貌ぶりにはまたやられました。もはやスーパーサイヤ人。
80'sのハード・ロッカーのようなルックスに、ディープでどす黒く、スリリングなサウンド。
先行シングルを聴いたときは「かっこいいけど、地味だし暗そう・・・」と思っていたのに
アルバムを通して聴いたら、シリアスなトーンで統一されながらも、細かい細工が施してあって飽きない。
クリス・ブラウンの暴行事件がターニングポイントとはいえ、そもそも正統派のグラマー美人ではなく
歌も踊りもそれほど上手いわけではなく、地の底から鳴るような声と、やたら迫力のある佇まいが持ち味だった彼女。
「Rockstar101」で歌われるように、実は本質的には、最初から「I'm a rockstar」だったわけです。
・・・とか思ってたら、また次でアッと言わされるんだろうな。頼むよ!
6.Bible Belt/Diane Birch
可愛いのに渋い。渋くてかつ可愛い。
ダイアン嬢に萌える理由は、これでもう充分。年齢層高めの男ファンが多くついたのも当然だ。
牧師の娘として、幼少期を世界中で過ごしながら音楽を習得し、アメリカに帰国後はゴスに傾倒したという彼女。
要は昔クラスにひとりはいた、「ネクラでオタクっぽいんだけど、よく見たら顔は結構可愛い子」そのもの。
元来、女性シンガーソングライターで顔の可愛い女子というのは、たいていそういう属性だった。
しかし00年代、ロックこそアイドルの主戦場となったため、才能より容姿が先にくるというねじれ現象が起きてしまう。
激しい戦闘の結果、草木は枯れ果て、人っ子ひとりいなくなり・・・荒れ地と化したこのジャンル。
ようやく復興し始めた、その象徴的存在こそがダイアン・バーチなのである。
肝心の音楽性は「タイムレスでグッドメロディーなピアノポップス」で、それ以上でもそれ以下でもない。だがそれでいい。
普遍的な音楽でありながら、実に2009年らしいという立ち位置がユニーク。
7.Love & War/Daniel Merriweather
リリー・アレン、エイミー・ワインハウス、クリスティーナ・アギレラ、アデルなど
白人の歌うレトロ・ポップスを蘇らせてきたマーク・ロンソンが、満を持して送りだした男性シンガー。
ざらっとした生楽器の手触りを活かしつつ、さりげなくプログラミングでアシストした
2009年らしいサウンドと、ソウルフルな歌声の相性の良さはさすが。
ただし上記女性シンガーたちと決定的に異なっているのは、ボーカルから発せられる雰囲気。
彼女らが、どちらかというとはすっぱな、あけっぴろげなキャラクターでいたのに対し
ダニエルはもっとシャイで、武骨で、どこか泣き出しそうな、そんな愛すべき不良少年の声を持っている。
「Nothing is impossible」というフレーズが力強く、同時に哀愁漂う「Impossible」や
ワーレイをフィーチャーした「Change」、アデルとの絶品デュエット「Water And A Flame」など良曲多し。
8.My Song For You/福井舞
J-POPシーンにおいて、アヴリル系ガール・ロック/パンクのフォロワーは数あれど、
海外の現行の女性SSWのスタイル・・・たとえばナターシャ・ベディングフィールドやネリー・ファータドのような
ジャンルレスなポップスを歌う分野に関しては、ほとんど開拓されていませんでしたが
このアルバムを聴いて、ようやく日本でも有望株が出てきたな、と思わされた。
もちろんまだまだ粗削りで、表現力が追いついていない個所も多々見受けられるけど
既存のJ-POPのやり方(言いかえれば売れ線モノ)を踏襲するのではなく、いろいろ追求してる感が快い。
本人の歌詞、ボーカルに抜け感が足りないのが課題だけど、裏を返せばすごくストイックで真面目で
女子なのに武者っぽいというか、ちょっと武骨なまでの不器用で媚びない雰囲気は、
同世代の他のアーティストにはなかなかないものだし、スケールの大きさを感じさせる。
J-POPで勝負していくのは大変だと思うけど、逃げず、ブレず、まっすぐ闘っていく力をこの娘には期待できるんです。
9.The Blue Print3/Jay-Z
トラックが似たり寄ったりになったり、曲数を詰め込み過ぎて冗長になりがちなヒップホップ作品において
最初から最後までダレることなく聴き通せるこの完成度の高さ、安定感は貴重。
それをポップ過ぎると見る向きもあるかもしれないけど、多彩なサウンド&ゲストが入れ替わり立ち替わりするなかで
常に一定の緊張感が保たれ続けているのは、Jay-Zのラップ、佇まいそのものに因るのは明白だろう。
初っ端から「D.O.A」→「Run This Town」→「Empire State Of Mind」と、話題曲を立て続けにブチ込んでくるのも
もったいないどころか、圧倒的な自信、キングの風格を感じさせて興奮する。
一見シンプルだけど実はすごく凝っているジャケット同様、プロの仕事が結集した、なんとも贅沢なアルバムでした。
「The Blue Print3」というタイトルだけど、Blue Printシリーズの流れというよりは
ラッパー復活後の3部作を締めくくる、という意味での「3」という響きが強い気がする。
10.Past<Future/安室奈美恵
「ありがとう」「地元好き」を連呼する合唱グループや、「会いたい」「せつない」しか言えない着うた系歌姫は
このアルバムを聴いて、マジで反省して勉強し直したらいいと思うよ。
そのくらい、閉塞感続くJ-POPの中で圧倒的に、というかむしろ異彩を放つほど先鋭的、それでいて超ポップ。
フューチャー感漂う、星の粒子を散りばめた無重力ダンス・チューンと
決して声を張り上げないのに、感情が力強く伝ってくる、ボーカルのその美しさ。
本人もスタッフも、現状に甘んじず、“次”をやってやろうという気概がビンビン伝わってくる。
特に中核を担うエレクトロ・オペラ「Dr.」の、過去と現在と未来が交差する、壮大な世界観は圧巻。
シングル1枚のみでアルバムを出すという構想も凄いし、そのシングルがアルバムのリードトラックとして
的確に機能を果たしているのも凄いし、結果アルバムが大ヒットと、売り上げ的に成功したのも凄いです。


次点
Human/Brandy
So Far Gone/Drake
D.I.Y.H.I.G.E./髭
Gratest Hits/Foo Fighters
This Is It/Michael Jackson



●Songs Of The Year


西野カナ feat.WISE「遠くても」:
ずっとブレイクして欲しいと思っていたので、この曲を聴いた瞬間「キタ!」とガッツポーズ。
さみしいけど大好き、せつないけど幸せな、遠距離恋愛中の女ゴコロが、彼女のガーリィな声にベストマッチ。
曲そのものも本当によくて、当然のブレイクだったと思います。その後はアレだけど、ほんと良い曲よ。
Ciara feat.Justin Timberlake「Love,Sex,Magic」:
コケてしまったけど、「Work」や「G Is For A Girl」など良曲が多かったシアラのサード・アルバム。
なかでも超エロくてスタイリッシュでフューチャリスティックなこの曲は白眉。
V.V. Brown:「Shark In The Water」
イキのいいオールディーズなバンド・サウンドと、ユニークな歌詞、パワフルな歌声が素敵な新人、VV。
思わずタンバリンを振って一緒に歌い踊りたくなる。サマソニも楽しかった!
9mm Parabellumm Bullet「VAMPIRE GIRL」:
ドラマ「妄想姉妹」の主題歌だった曲。ハードロックと思いきや意外と歌謡曲メロディで、カラオケで歌うと快感。
昭和っぽい妙にドラマティックな歌詞と、過剰に放出されるパワーがツボでした。
Shakira:「She Wolf」
「Awwww!」という叫び声が頭から離れない、キッチュでタイトでセクシーなダンス・チューン。
シャキーラとエレクトロと聞いて当初想像がつかなかったけど、なるほどなあという形で表現してくれたのはさすが。
加藤ミリヤ×清水翔太:「Love Forever」
スターゲイト調サウンドの丸パクリとはいえ、こういう音をJ-POPで、今の音としてモノにしたことを評価したい。
単純なサビも、口ずさんでると結構楽しい。若いのにやたら老成しているふたりを応援したいと思います。
Jay-Z feat.Alicia Keys:「Empire State Of Mind」
これはズルいでしょ。最強タッグによる、最強のニューヨーク賛歌。
はじめて聴いたときアリシアだと知らなかったんだけど、すごく存在感があってすぐ惹きこまれた。
Micro:「踊れ」
2008年の曲だけど、前回書くのを忘れていたので・・・。
ロックとヒップホップのMIX、切迫感のあるラップ、壮大なメッセージがいつ聴いても胸を揺さぶる。





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