2008 Saicish Music Award



●Albums Of The Year



1.Who are you?/NICO Touches The Walls
聴いた瞬間に「何このアルバム!」と鳥肌が立ち、その後3週間、他に何も聴けなかった。
平均年齢23歳、メジャーデビュー後初のアルバムという肩書きにふさわしく、昇る竜のごとき勢いが痛快。
特に2曲目「B.C.G.」から6曲目「バニーガールとダニーボーイ」までの流れは文句なしにノレる。
シングルではスピード感あふれる曲が目立ったけど、バラード3曲も思いのほかいい出来。
なかでも哀愁漂う「エトランジェ」が抜群だけど、個人的にはシャイな独り言の「ほっとした」にキュンときた。
それにしても、すべての曲を手掛けるボーカルの光村龍哉の存在感といったら。
曲のクオリティはもちろん、歌声も力強くこちらに響いてくるし、何よりセクシーさとピュアさが同時にある。
実際にライブを見たときより確信したけど、私が今まで日本のロックにあまりはまれなかったのは
ロックスター然とし過ぎてこっちが恥ずかしくなるか、もしくは普通のお兄ちゃん過ぎて惹かれないかだったんだけど
光村の場合はその境界線を、ひらりひらりと自在に行き来する。それも無邪気なのか確信犯なのかわからないところが末恐ろしい!
2.19/Adele
祝・グラミー賞2部門受賞!! 
はじめて聴いたときから「ほんとに19歳!?」(ルックスも含め)とおののかされていたので、この受賞には文句なし。
ロックとソウルの融合なんていまどき数あれど、老成した作曲能力&ビターでソウルフルな歌声の説得力が半端ない。
21世紀の作品なのに、元からセピアカラーだったかのようなこの佇まいは一体何なのかね?
サビで感情がぐわーっと高まる「Chasing Pavements」、ジャムってる感じが楽しい「Best For Last」、
やわらかいマリンバ?の音色が、愛らしい思い出を弾ませるような「First Love」、ちょっとキッチュな「My Same」など
どの曲も微妙に表情が違っていて、収まるべき場所に収まっているという印象。
そしてラストを飾る「Hometown Glory」が素晴らしすぎるよ!
ほぼピアノ一台、アデルの喉一つで切々と歌われる故郷への想い。
どういう覚悟を決めたら10代でこんな歌が作れるのか? 今いちばん期待しているシンガー・ソングライターです。
3.Everything Is Borrowed/The Streets
「UKのエミネム」「問題児」などのキーワードが先走って、これまでスルーしてきたんですが・・・これは本当に傑作!
リリックを読み込んだわけじゃないし、以前の暴れん坊ぶりも詳しくないから比較できないんだけど
白い朝もやが、昇れる太陽とともにゆっくりと晴れていくような1曲目で、「愛以外のすべてはしょせん借り物」と宣言する姿。
それは思わず聴いているこちらが「え、どうしちゃったのよ!?」と驚いてしまうような、静かな覚醒。
サウンド的にも、ピアノやストリングスなど生楽器が多用され、オーガニックな雰囲気。
夜の幕が下ろされるようなラストの「The Escapist」まで通して聴くと、
これは1日の移り変わりを描きながら、それがそのまま人生に置き換えられることに気付く。
やんちゃ少年ほど父親になると変化するというか、普段騒がしい人が無口だと威圧感があるというか(これは違うか)
ラッパーとしても人間としても、ひとつ上のステージにあがったことを感じます。
4.American Gangster/Original Soundtrack
70年代の大物ギャングと、それを追う刑事を描いたリドリー・スコット監督映画のサウンドトラック。
エネルギッシュかつクールな本編を彩る、素晴らしいソウルナンバーを中心に、全14曲が収録されています。
アンソニー・ハミルトンの歌声が味わい深く染み入る「Do You Feel Me」(作はダイアン・ウォーレン!)や
ビートルズをLowell Fulsonがカバーした「Why Don't We Do It In The Road?」、
さらにはパブリック・エネミーの「Can't Trush This」まで、映画のテーマに沿った曲がちゃんと集められていて好感。
個人的に一番のお気に入りはSam&Daveの「Hold On I'm Comin'」! 自然と腰が揺れるファンキーなナンバー。
後半はインスト曲になるんだけど、金管楽器の音がグイグイ盛り上げるアップ・チューンから
不穏な夜の匂い漂うザ映画音楽まで(ちょっと「シンシティ」的)バッチリで、「サントラかくあるべし!」な一枚。
5.Waves & the Both Of Us/Charlotte Sometimes
ジェシカ・シャーロット・ポーランドを中心とした、NY出身の5人組バンド。
マリオネットなジャケに惹かれて試聴してみたら、荒削りながらも独特の世界にすぐ引き込まれてしまいました。
ポップ・ロックなんだけど、イマドキのそれとは違って、もっとオールドスタイルな感じ。
レトロでちょっとジャジー、昔のアメリカ映画で、地元のホテルで演奏しているバンドのような・・・
特にフロントガールのシャーロットの声。力強いんだけどどこか哀愁漂っていて、物語性がある。
バンド名はペネロピ・ファーマーの小説から、シングル曲「How I Could Just Kill a Man」はサイプレス・ヒルの同名曲からと
20歳そこそこのバンドにしては、カルチャーに造詣が深そうなのもいいね。
割と明るい前半よりも、じわっと湿度が上がる後半のほうが、よりこのバンドらしい感じ。
6.Viva La Vida/Coldplay
とにかくメロディとサウンドが綺麗で、この点に関しては08年ナンバーワンの作品だと思う。
流麗なストリングス、繊細なピアノ、でもけっして儚いとか女々しいとかではなくて、
天上から光がさしてくるような神々しさをまとい、聖書や宗教画かのようなスケールで存在していた。
それが過ぎて、曲ごとの印象が弱まっているきらいもあるけど、まあそれはそれでいいのかも。
後発の補完EP「Prospect's March」とあわせて聴くとなおいいね。こっちのほうが曲が立ってます。
ちょい狙いすぎなジャケットや、「美しき生命」って邦題はどうかと思うけど(テーマとしては「人生万歳!」でしょ)
このアルバムで世の評価と実力・存在感のバランスが、特に日本では達成されたんじゃないかな。
しかし表題曲の歌詞を見ても塩の柱だのエルサレムだの、クリスチャン・ロックよりもキリスト教色の強いバンドだよね改めて。
7.Funhouse/P!NK
「はっちゃけたジャケ」&「インパクト大なユーモラスな先行シングル」で引きつけておいて
開いてみれば実はシリアスなナンバーが並ぶ・・・という手法は前作を踏襲。
表題曲なんて「Funhouse」ってタイトルなのに、切迫感溢れるロック・ナンバーだし。
でもそれが実にP!NKらしいというか、こういうことができる女性アーティストは実は他にいやしない。
そして怒涛の烈しさのあとにやってくる、静かな「Crystal Ball」や「Glitter In The Air」がまたせつない。
個人的には突出した曲がないのが残念だけど、前作に引き続き良質な作品だと思います。
マックス・マーティンやブッチ・ウォーカー、ビリー・マンといった一流ポップ・メーカーを従えながら
けっして作られた感がなく、むしろますます生々しいP!nkは本当のプロだわ。
8.Down To Earth/Jem
デビューアルバムを、地味にコンスタントに聴いていたJemの新作。
もともと浮遊感のある、あまり生活臭のない歌声&サウンドが特徴的な人でしたが
本人もそれをわかっているのか、今回のタイトル・トラックでは宇宙人の目線(!)で
地球と人間の現状を憂うという、かなり面白い歌をさらりと。不思議と説得力があるのがすごい。
ブラジリアン・パーカッションの導入や、ゲストの南アフリカのシンガー、さらには日本語の歌詞もあったりと
以前は箱庭的世界観だったサウンドが、ワールドミュージックと邂逅して開放感を得た感じ。
特に911を歌った「You Will Make It」の女神的な美しさは特筆ものです。
ジャケットの中写真も美しいので(こっちを表紙にすればよかったのに)お見逃しなく。
9.Circus/Britney Spears
正直、もうダメかと諦めかけたときもありました。
それでも目が離せなくて、応援せずにはいられなくて、今こうして復活が心から嬉しいのは
ブリトニー・スピアーズが、まさに天才的なアイドルだということの証明。
そして私と同じような人間が、全世界にごまんといるというこの奇跡!
全盛期のキレを思い起こさせる「Womanizer」に歓喜し、美しさと貫録に満ちた「Circus」で涙した。
前作「Blackout」のダークさからは一転、作品全体にキラキラした粒子が降り注いでいる。
正直サウンドの完成度は前作のほうが好きなんだけど、ブリトニーの輝く笑顔に再会できただけで大満足。
「Well baby, I'm a put-on-a-show kind of girl」・・・そう、その言葉をずっと待っていたんですよ!
10.The Piazzolla Best/小松亮太
日本のバンドネオンの第一人者、小松亮太のデビュー10周年記念ベスト。
しかも私の大好きなピアソラオンリー!・・・といいつつ、ピアソラはまだまだ聴き始めたばかりなので
私のような初心者にもぴったりな、聴きやすいベスト盤になっていると思います。
人気曲「リベルタンゴ」「アディオス・イニーノ」「ブエノスアイレスの夏」などももちろん収録。
本人によるライナーノーツ付きで充実の内容です。ピアソラの写真を壁に投影した、ムードのあるアートワークもいいね。
それにしてもタンゴってなんでこう官能的なのかね。
夜にキャンドル、片手に酒というシチュエーションで聴きまくったわ。
ああ、憧れ遥かブエノスアイレス!


次点
SAM SPARRO/Sam Sparro
In Our Space Hero Suits/Those Dancing Days
記憶喪失学/菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール
Donkey/CSS
Shine/Estelle



●Songs Of The Year


Duffy「Mercy」:
ダミ声と言ってしまっていいくらいの特徴的なボーカルなのに
60'sな軽快なサウンドに乗せて恋い焦がれる女の子の気持ちを歌えば、こんなにキュートだから不思議!
アルバムにはそこまではまれなかったけど、すぐに踊りだしたくなる大好きな曲。
Beyonce「If I Were A Boy」:
Duffyと同じく、アルバム自体はあまり評価できなかったものの、この曲だけはリピートしまくった。
ちょっと大仰すぎるのもビヨンセだから許されるんだよ。静かな怒りが爆発するサビに震える。
西野カナ「Growly Days」:
今年のガーリィNo.1。ガラスの鈴のような春風のような歌声が最高に胸キュンもの。
蝶々が舞うミュージック・ビデオも、シンプルだけど本人の可愛さが引き立っていていいね。
Flo Rida feat.Timberland:「Elevator」
私をアゲまくってくれた一曲! 本当にエレベーターが上がっていくようなサウンドがたまらん!
福原美穂「優しい赤」:
LISMOのキャンペーン曲。故郷への決別の想いを歌ったバラードで、今こんな曲を歌える若い女子はそうおりません。
北海道の夕焼けに染まった大地が目の前に広がるような、スケールの大きいボーカルが素晴らしい。
辻詩音:「Candy Kicks」
ライトなポップ・ロックに乗せて、歌われるティーンのむずがゆい心情!これが若さだ。
ガールロックかくあるべしな、曲、詩、声が高バランスで結集した曲。
The Bird And The Bee:「How Deep Is Your Love」
映画版「SEX AND THE CITY」のサントラに収録されていた、ビージーズの名曲のカバー。
シンプルな電子音のアレンジの上を、女性ボーカルが繊細な線画を描くさまがお見事。
Leona Lewis:「Bleeding Love」
なんだかんだ言って名曲だと思う。クセのないレオナのボーカルだからこそよりヒットしたのだろうな。
Ryan Tedderとともに作曲した、Jesse McCartneyを褒めてあげてください。





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